ライフ

92才ばぁば 心筋梗塞発作時、“死ぬわけにはいかない”と叫んだ

「苦労の跡を見せない」とばぁばこと、鈴木登紀子さん

 日本料理研究家の鈴木登紀子さん(92才)は、1924年青森県八戸市生まれ。自宅で始めた料理教室をきっかけに、46才のときに料理研究家としてデビュー。テレビをはじめ雑誌などで広く活躍。料理番組『きょうの料理』(NHK Eテレ)への出演は40年を超え、今も料理教室を主宰している。最新刊は『ばぁば 92年目の隠し味 幸せを呼ぶ人生レシピ』(1400円+税、小学館刊)。

 昨年、肝臓がんの定期検診と治療入院中に心筋梗塞の発作が起き、緊急手術で一命をとりとめた。

「目の前がまっ暗になって、ついにこの時が来た…と。いや、だめだめ! これはいけない、このままではいけない。無我夢中で、『誰か来てくださーい! このまま死ぬわけにはいかないのですぅ!!』と叫んでおりました(笑い)。

 だって、2日後にはお教室が控えていたのだもの。あとで、『あんな大声出したら、かえって心臓に悪いわよねえ』と、主治医の先生や看護師さんたちと大笑いよ」(鈴木さん・以下「」内同)

 病の話をするのは笑い話になってから…が、ばぁばの流儀。入院時はもちろん、体調が悪いときは、そうとは言わず、しかも、家族以外の人間には決して会わない。ここが痛いなどと不健康自慢をするばぁばは見たことがないし、苦労話もしない。

「“怒髪天を突く”如くに荒れた姿を人様に見せるなんてとんでもないわ。母もそうでした。昭和6年に父が亡くなった際、たったひと言、ほっとした…と。父は厳しい人でしたけれど、母にとって耐えがたい結婚生活だったとは思えません。父の死はきっと、母にとって“家庭”という大仕事の締めくくりだったのでしょう。

 苦労の跡を見せない。たとえわが子であっても愚痴はこぼさない。これは昔の女性のたしなみであり、美学でもあったのです。私も、いつも朗らかなちょっと面白いばぁさんだった…と覚えていただけたら、人生、上出来です」

撮影/近藤篤

※女性セブン2017年6月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
小室眞子さん第一子出産で浮上する、9月の悠仁さま「成年式」での里帰り 注目されるのは「高円宮家の三女・守谷絢子さんとの違い」
週刊ポスト
TUBEのボーカル・前田亘輝(時事通信フォト)
TUBE、6月1日ハワイでの40周年ライブがビザおりず開催危機…全額返金となると「信じられないほどの大損害」と関係者
NEWSポストセブン
ラウンドワンスタジアム千日前店で迷惑行為が発覚した(公式SNS、グラスの写真はイメージです/Xより)
「オェーッ!ペッペ!」30歳女性ライバーがグラスに放尿、嘔吐…ラウンドワンが「極めて悪質な迷惑行為」を報告も 女性ライバーは「汚いけど洗うからさ」逆ギレ狼藉
NEWSポストセブン
夏の甲子園出場に向けて危機感を表明した大阪桐蔭・西谷浩一監督(産経ビジュアル)
大阪桐蔭「12年ぶりコールド負け」は“一強時代の終焉”か 西谷浩一監督が明かした「まだまだ力が足りない」という危機感 飛ばないバットへの対応の遅れ、スカウティングの不調も
NEWSポストセブン
田中圭の“悪癖”に6年前から警告を発していた北川景子(時事通信フォト)
《永野芽郁との不倫報道で大打撃》北川景子が発していた田中圭への“警告メッセージ”、田中は「ガチのダメ出しじゃん」
週刊ポスト
TBS系連続ドラマ『キャスター』で共演していた2人(右・番組HPより)
《永野芽郁の二股疑惑報道》“嘘つかないで…”キム・ムジュンの意味深投稿に添付されていた一枚のワケあり写真「彼女の大好きなアニメキャラ」とファン指摘
NEWSポストセブン
逮捕された不動産投資会社「レーサム」創業者で元会長の田中剛容疑者
《無理やり口に…》レーサム元会長が開いた“薬物性接待パーティー”の中身、参加した国立女子大生への報酬は破格の「1日300万円」【違法薬物事件で逮捕】
週刊ポスト
2日間連続で同じブランドのイヤリングをお召しに(2025年5月20日・21日、撮影/JMPA)
《“完売”の人気ぶり》佳子さまが2日連続で着用された「5000円以下」美濃焼イヤリング  “眞子さんのセットアップ”と色を合わせる絶妙コーデも
NEWSポストセブン
話題のAIビデオチャットアプリ「Castalk(キャストーク)」
「リアルだ…!」グラビアアイドル・森咲智美と2人きりで「ふれあいタッチ」も AIアバターアプリ「Castalk」を男性記者が体験してみた
NEWSポストセブン
石川県を訪問された愛子さま(2025年5月18日、時事通信フォト)
「バッグのファスナーをすべて開けて検査」愛子さま“つきまとい騒動”で能登訪問に漂っていた“緊張感”
NEWSポストセブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さんが第1子出産》小室圭さんが母・佳代さんから受け継ぐ“おふくろの味”は「マッシュポテト」 関係者が明かす“佳代さんの意外な料理歴”とは
NEWSポストセブン
群馬県草津町の黒岩信忠町長、町長からわいせつ被害を受けたという嘘の告訴をした元町議の新井祥子被告
「ずるずるずるずる、嘘を重ねてしまいました」…草津町長への“性被害でっち上げ” 元女性町議が裁判で語った“発言がどんどん変わった理由
NEWSポストセブン