ビジネス

スマホ普及で売れないコンデジ このまま消滅してしまうのか

スマホカメラとコンデジの二刀流は見られなくなるのか

 コンパクトデジタルカメラ(以下、コンデジ)やデジタル一眼レフ、新型ミラーレス機などカメラ製品全般の販売不振が世界中で止まらない。

 市場調査会社・富士キメラ総研が5月23日に発表した「エレクトロニクス製品の世界市場調査」によると、2016年のコンデジ世界市場は前年比39.1%減の1400万台(うち日本は200万台)、デジタル一眼も1145万台(うち日本は130万台)と低迷した。

 特にコンデジ市場は日系メーカーの製品が72%を占める“日の丸家電”の代表格だったゆえに、カメラ業界が受ける打撃も大きい。

 ニコンは2017年3月期決算で7年ぶりの赤字に転落。希望退職などリストラに追われている。リコーやカシオ計算機もデジカメ不振が響き、減益に苦しむ。また、その余波は販売店にまで及び、カメラのキタムラはデジカメ不振が要因となって大量閉店を余儀なくされている。

 ここまでカメラが売れなくなった理由は、ただひとつ。スマートフォンの台頭で市場を奪われたからだ。富士キメラ総研・第1研究開発部門の調査員、宇仁菅繁行氏がいう。

「近年、スマホに搭載されるカメラの高画素や、小さいF値のレンズ採用、手ぶれ補正機能など高機能化が進んできたために、コンデジやエントリーモデルの一眼レフ、ミラーレスとの差別化が難しくなっています。

 もちろん、デジカメでもスマホとの違いが明確に分かる付加価値をつけ、かつ低価格で勝負する商品もありますが、『常に持ち歩くスマホカメラで十分』と、スマホへの需要シフトは進む一方です」

 確かに、身近なイベントや旅行でデジカメを構えるよりも、スマホやタブレットでシャッターを切る人の光景を目にする機会は増えた。「スマホで撮ればすぐにSNSなどで共有できるから便利」(20代女性)との理由も大きい。

 さらに、写真撮影が大事な任務である報道現場でも“スマホ撮”が目立つようになった。もともと専属カメラマンをつけずに記者が撮影も兼ねる取材スタイルを取るケースはあるが、「下手にコンデジを使うよりもスマホのほうがキレイに撮れる」と、カメラを持ち歩かない記者が増えている。

「ある大手企業の社長会見で、あまりにもスマホやタブレットで撮影している記者が多かったために、社長が少しムッとしていた」(経済誌記者)という話も出るほどだ。

 いずれにせよ、このままカメラ市場は萎み続けてしまうのか──。

関連記事

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト