薬は食前・食間・食後のタイミングに服用するものがほとんどだ。薬と食事は切っても切れない関係だが、一緒に食べる食品によっては薬効が弱まるばかりか、逆に「毒」に成り変わるリスクもある。
薬の効能を過剰に強めてしまうことのある食品がグレープフルーツだ。ビタミンCが豊富で風邪の予防や疲労回復に効果があるとされるが、片頭痛の治療薬(エレトリプタン臭化水素酸塩)を服用している場合は食べてはいけない。薬剤師の堀美智子氏がいう。
「グレープフルーツには、体内にある薬物代謝酵素の機能を妨害する働きがある。このため体内に薬が代謝されずに長く留まると、薬の効果が強く出過ぎる。すると動悸や倦怠感に襲われるリスクがあります」
薬と食べ物の組み合わせリスクは多岐にわたる。赤ワインとカリウム保持系の利尿剤、牛乳、ヨーグルトと抗生物質などだ。
抗うつ剤を服用している人はコーヒーに気をつけたほうがよい。一部の抗うつ剤(フルボキサミンマレイン酸塩)とコーヒーを飲み合わせると、イライラが高まるといった逆効果が生じてしまう。
「薬の効果で代謝が進まなくなると、体内はカフェインを過剰摂取した状態になる。すると不眠になったり不安感を高めることがあるのです」(同前)
さらに、牛乳やヨーグルトなどの乳製品も、抗生物質(テトラサイクリン系)の作用を弱めてしまうという。
活力源として愛用者も多いニンニクだが、抗HIV薬と併用すると薬効が半減するという症例も報告されている。
※週刊ポスト2017年5月26日号