ビジネス

ソニー完全復活宣言は本物か「利益よりヒット商品を」の声も

構造改革の成果に自信を見せるソニー・平井一夫社長

 2012年3月期に過去最大となる4566億円の巨額赤字を計上し、瀕死の状態にまで追い込まれたソニー。以降、テレビ事業の縮小、パソコン事業の売却など大胆なリストラを断行してきた結果、“完全復活”のメドがついたという。

 5月23日、経営方針説明会を開いたソニーの平井一夫社長は、〈2018年3月期の営業利益は過去2番目の水準となる5000億円の必達をめざす〉と高らかに宣言した。5000億円の利益を叩き出せば、20年ぶりとなる快挙。しかも、平井社長はこの水準を〈複数年にわたって継続できたことは71年の歴史の中で一度もない〉と語り、暗にチャレンジする意気込みさえ見せた。

 そもそも前期の営業利益2800億円の7割増にもなる5000億円という数字は本当に達成できるのか。全国紙記者がいう。

「業績大幅回復のカギを握るのが、半導体事業とゲーム事業。半導体は、より収益拡大が見込める車載向けやスマホ用の画像センサーに経営資源を集め、前期赤字から大きく成長している。

 また、家庭用ゲーム機『プレイステーション(PS)4』は、ハードの販売増に加え、ソフトウェアや動画有料配信などのネットワークサービスが好調。それら収益柱の伸びを考えると、5000億円は高いハードルだが、不可能な数字ではない」

 単に儲からない事業を切り捨てただけでなく、これから儲かる事業に注力し、しっかりと育ててきたというわけだ。

 だが、5000億円の利益水準を持続させていくのは、さすがに容易なことではない。『経済界』編集局長の関慎夫氏がいう。

「ソニーのこれまでの歴史を振り返ると、期待のビジネスが逆に足を引っ張ることが珍しくありません。平井社長が就任した2012年当時も、主力事業の牽引役としてスマホ、画像センサー、ゲームを挙げていましたが、その後まずスマホが失速。2014年3月期に1800億円の減損処理を行い、ソニーは無配に転落しました。

 また、2年前の経営方針説明会では、成長領域として画像センサーなどの『デバイス事業』、PS4などの『ゲーム&ネットワークサービス分野』、『映画分野』、『音楽分野』の4つを挙げました。

 ところが、デジカメが売れなくなったことに加え、スマホへの対応が遅れたこと、さらには熊本地震もあり、半導体分野の前々期はギリギリ黒字、前期は赤字に転落してしまいました。さらに映画は最大のお荷物となり、米国のエンターテインメント責任者を交代せざるを得なくなりました。

 このように、ソニーは“期待しては裏切られ”ということを出井(伸之)社長の時代からずっと繰り返しているのです」

関連記事

トピックス

第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン