権力の腐敗、不正を告発しようとする人物がいれば、まずはその言葉に耳を傾け、検証した上でそうした声を拾い上げていくのがメディアに求められる役割のはずだ。ところが、告発者を“抹殺”したい政権にとって、都合のいい情報が真っ先に報じられる──そんな状況が今、この国に生まれている。
安倍政権を揺るがしかねない加計学園問題。その解明のキーマンが政権の思惑に歩調を合わせたメディアの“標的”にされているのではないか。そんな懸念を抱かせる経緯だ。当事者である前川喜平・前文部科学事務次官は静かに口を開いた。
「加計学園の獣医学部新設に至る政策決定過程には大きな問題がありますが、メディアがそれを報じてくれないと国民は何が起きているか知ることができず、政治へのコントロールが利かなくなる。メディアが権力に支配され、権力に都合のいい情報しか流さなくなってしまうと、状況は本当に危機的です」(前川氏)
文科省の事務方トップを務めた経歴を持ちながら、政権に異を唱える告発に踏み切り、注目を集める前川氏。
だが、告発に先立つ5月22日には読売新聞の朝刊社会面において、〈前川前次官 出会い系バー通い〉という見出しで、前川氏が次官在任中に新宿・歌舞伎町の出会い系バーに出入りしていたことが報じられた。8段ブチ抜きの“スクープ”だった。