スマホの普及により、許可なくSNSに顔写真をアップされるトラブルは後を絶たないが、飼い主の許可なく亀を撮影してブログに載せたら罪になるのだろうか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
友人宅に遊びに行ったとき、飼われている亀に愛嬌を感じたので、スマホで撮影し、ブログにアップ。すると友人から、亀といえども飼い主の許可なくSNSなどに載せた場合、罪に問われるとクレームが入ったのです。亀に肖像権があるとは思えず、友人の難癖は解せないのですが、実際はどうなのでしょう。
【回答】
肖像権とは、みだりに人の姿態や容貌を撮影されたり、その写真を公開されない権利ですが、人ではない亀に、肖像権はありません。
ただし、飼い主は動物の所有者として、写真撮影を拒否できます。その飼い主から拒否されない限り、写真撮影や発表は自由です。ところが、希少動物だったり、愛嬌や動作が有名で、その動物の写真を使うことで多くの人をひきつけ、商売に利用すると営業機会が格段に広がる場合もあり得ます。このような力を顧客吸引力といい、顧客吸引力に着目した権利をパブリシティ権といいます。
有名芸能人やスポーツ選手の写真を使った商品などを無断で販売すると、パブリシティ権の侵害となり、販売差し止めや損害賠償請求を受けることがあります。つまり、顧客吸引力がある動物の写真も財産的価値があるため、飼い主に無断で使えないという議論も成り立ちます。