韓国のシンクタンク「峨山政策研究院」が今年3月下旬に発表した調査では、韓国人の「嫌いな国」で中国が日本を抜いて2位に浮上した(1位は北朝鮮)。韓国では過去に例を見ない嫌中ムードが蔓延する。
「韓国の地方都市では、『中国人NO』『中国は反省しろ』という張り紙を貼ったタクシーが堂々と走っているし、ネットでは『シャオミ』『ファーウェイ』『ハイアール』など中国製品のリストを作成して、不買を呼びかける運動が盛んです。中国への旅行者も大幅に減りました」(韓国人ジャーナリスト)
実際、韓国の大手旅行代理店によれば、4月の中国旅行商品の予約件数は前年同期と比べ44%減少した。一般市民からはこんな不満の声もあがる。
「中国からのPM2.5でソウルの大気汚染は年々深刻化しています。中国が沿岸部に建てた工場で韓国が被害を受けるのは腹立たしい。中国は自分のことだけでなく地球全体を考えるべきです」(ソウル在住の主婦)
また、今年3月には上海市内でバスに乗車していた現地在住の韓国人女子高生が見知らぬ中国人男性にいきなり後頭部を殴られる事件が起きた。中国国内で反韓感情が高まる中、か弱い少女を狙った憂さ晴らしの犯行と見られ、中国の韓国人社会に衝撃が走った。前出の韓国人ジャーナリストは、今後の中韓関係を不安視する。
「韓国はこれまで北朝鮮と日本を直接的な脅威とみなす一方、朴槿恵の親中路線で国内に中国への融和ムードが拡大しました。だが経済が中国頼みになった途端、彼らは本性を剥き出しにした。中国の横暴を目の当たりにして多くの韓国人が恐怖を感じたことが“中国嫌い”の増加につながっています。互いの不信感が募る中、不測の事態が発生することが心配です」
一触即発の状況が続く。
※SAPIO2017年6月号