相撲ブームが沸騰している。そこで、「謎のスー女」こと尾崎しのぶ氏は現在相撲コラムを週刊ポストで執筆中。今回は親方衆が担当する「切符のモギリ」の楽しみ方について尾崎氏が語る。
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週刊ポストの先々週号に手をたたいてしまった。百三十八ページの「独占入手! これが『5月場所・木戸番シフト』だ」。さっそく私が国技館に行く日時の担当を確認する。ほう、E親方とO親方か。
モギリのときどの親方にあたるのか、私にとってそれは大変な楽しみである。私は現役力士に声をかけない。花相撲のときは無礼講かと思うけれど、本場所中は取組後であってもその日の相撲への反省を噛みしめていたり、翌日の取組について集中を始めているかもしれない。そう思うとおそれを覚え、ただジッと見つめるだけにしている。
その分モギリの親方には、お疲れ様でございます、とのあいさつだけでなしに、なにか一言付け加えようと狙っている。もちろん客の入りの多くない、混みあっていない時間帯に限る(後ろに長蛇の列があるときに流れを止めてはならない)。
出来山親方(元関脇・出羽の花)が木戸にいるときは、千賀ノ浦親方(元関脇・舛田山)の姿まで目に浮かんだ。日大の野村と拓大の舛田。幕下付け出しデビューした一九七四年三月場所では、関取たちが花道に並び「大学あがりがなんぼのもんじゃい」とにらんでいたという。