ここ数年、若者の間で、ペアルックが空前の大ブームとなっている。2015年にはきゃりーぱみゅぱみゅ(24才)とSEKAI NO OWARIボーカル・Fukase(31才)がペアルックのツーショト画像をあげ(後に破局)、昨年は神木隆之介(24才)と佐野ひなこ(22才)がペアルック交際をスクープされた(双方交際否定)。また、新婚の神田沙也加(30才)と村田充(39)もペアルックを披露している。
こうして今また若い世代にペアルックが支持されるのは理由があると、共立女子短期大学教授の渡辺明日香さんは言う。
「1つには、2000年代後半から主流となったファストファッションの影響があります。服が安価になり気軽に購入できることで、容易にペアルックができる状況になりました。2つめに2011年の東日本大震災の影響があります。以後、みんなの足元がスニーカーやフラットシューズに変わった。
マザーズバッグとして人気なのが『アネロ』のリュックであるように、女性の服装が全体的にカジュアルダウンしています。ユニセックスなスポーツアイテムを好む女性も増えてきて、男性とブランドアイテムをシェアできる。ペアルックしやすい環境になってきているんですよ」
近年は機能的でファッショナブルなアイテムを求める傾向と、仲間との体験を大事にするマインドがペアルックブームを加速させている。
スタイリストの八木智也さんはこう見ている。
「女の子同士が全身コーデを完コピする“双子コーデ”やグループ全員が制服で出かける“制服ディズニー”、ハロウィンやフェスでのコスプレなど、イベント的にペアの服装をすることで、イベント自体もさらに盛り上がる。その写真をインスタなどにあげることで、さらに達成感や満足感が得られる。そうしたライトなコスプレが日常的になっているのも大きいのでは」
かつてペアルックはカップルの絆を証明する役割が大きかったが、今はそれほど重くない。心理学者の富田隆さんが言う。
「ペアルックで実現する一定の時間、何かに“なりきる”ことは楽しくもあり、癒しにもなる。ペアルックが、強い絆で結ばれたいというカップルの儀式だった時代よりも、ずっとカジュアルになってきていますね」
確かに最近結婚を発表した芸能人カップルらは、SNSなどでさらりとツーショットのペアルックを披露している。妻夫木聡(36才)&マイコ(32才)、島袋寛子(33才)&早乙女友貴(21才)、佐々木希(29才)&渡部建(44才)の白Tペアルック、優香(36才)&青木崇高(37才)の黒Tペアルック…。
いずれも、見ているだけで思わず笑みがこぼれてしまうはずだ。それは彼らの気張らない幸せにアテられてしまうからだろう。
※女性セブン2017年6月8日号