「読売新聞を熟読していただきたい」──憲法改正論をめぐる安倍晋三・首相の答弁は野党から「国会軽視」との批判を浴びた。だが、この発言は政権と大メディアとの関係の変質を示唆するある種の「予告」だったのではないか。自民党の若手議員がこう驚いている。
「総理のいうように読売新聞を熟読することにした。すると2週間後(5月22日)に社会面に前川喜平・前文部科学事務次官の(出会い系バーに出入り)記事が出た。ああ、あの言葉には深い意味があったんだと感じた」
牽強付会な見方とは言い切れない。「憲法9条改正」の具体案を語った安倍首相の憲法インタビューは渡辺恒雄・読売新聞グループ本社主筆と会食した2日後(4月26日)に行なわれ、憲法記念日に読売が1紙独占で報じた。その読売紙面に前川氏の出会い系バー通いが掲載されたのだ。
服部孝章・立教大学名誉教授(メディア法)はそこに権力とメディアとの関係の大きな変化があると見る。