収賄や公務上秘密漏洩などの罪に問われ3月31日に逮捕されて以降、韓国の前大統領である朴槿恵被告はソウル拘置所に収監されている。韓国紙によると、朴被告は一般収容者が4~6人で使う約12平方メートルの共同房を1人で使用しており、部屋には折りたたみ式のマットレスと1人用の食卓、棚、テレビとトイレがあるのみだという。だが韓国の全国紙記者は「これでも特別待遇です」と指摘する。
「当初、用意された10平方メートル程度の独房を朴被告が“施設が汚らしい”と拒否したため、急きょ大部屋を改造して独房にしたと報じられました。“特別扱いだ”との批判もありましたが、他の収容者と完全に分離する狙いもあるようです」
獄中の生活は規則正しく慎ましい。朴被告は他の収監者同様、午前6時半に起床して同7時、同11時半、午後5時に食事を取り、午後8時に就寝する。
1食分およそ140円という食事のメニューは食パンとチーズ、豚肉とキムチの鍋やかまぼこの炒め物など簡素なもので、食後は朴被告が自ら皿洗いして食器を返却する。
「化粧品の持ち込みは禁止されています。1日最大4万ウォン(約4000円)までは拘置所内の購買所で日用品を買えますので、彼女もそこで基礎化粧品や下着を買っているようです」(同前)
ただし、拘置所内では鉄製のヘアピンの持ち込みも禁止されており、朴被告の定番のアップヘアはできない。韓国政治に詳しい大阪市立大学大学院教授の朴一氏はこう話す。
「拘置所内には美容師もいますが、カットのみ可能で、そもそもスタイリングはできません。朴被告は美容のために顔に注射を打ってきたといわれていますが、それも無理。肌の老朽化は避けられないでしょう」
大統領の座から一転して被告人の身となっただけに、当初は心身への影響が心配された。韓国在住のジャーナリストが語る。
「収監当初、精神的に落ち込んだ朴被告は食事をほとんどとらず“準絶食状態”になり、命が危険な状態だとする報道もありました。彼女には副腎機能低下症の持病があり、このまま獄中生活が長引くと健康状態が懸念される、というのです」
健康不安とともに話題を呼んだのが「トイレ論争」だ。朴被告は他人の使用したトイレを極度に嫌い、大統領在任中は訪問した先々でトイレの改装を命じたことから、ネットを中心に「便器姫」とのあだ名がついた。