日本人は「国連」という言葉に弱い。世界をとりまとめる“権威”と思い込み、精神的にひれ伏してしまう者も少なくない。そんな日本人の心理を突いた“情報操作”が再び起こった。
5月12日、国連の人権条約に基づく「拷問禁止委員会」が日韓の慰安婦合意(2015年12月28日)について、「被害者への補償や名誉回復、再発防止策が十分とはいえない」として、見直しを勧告する報告書を発表した。日本の主要メディアはこれを次々に報じた。
「慰安婦合意 国連委見直し勧告 韓国 10億円拠出触れず」(産経新聞5月14日付朝刊)
「国連委、日韓の慰安婦合意見直し勧告=『補償、名誉回復が不十分』」(時事通信5月13日配信)
「慰安婦巡る日韓合意、見直し勧告 国連拷問禁止委 政府、韓国の対応注視」(読売新聞5月13日付夕刊)
まるで、国連が見直しを勧告したかのようだが、事情は相当に異なる。実は、この「拷問禁止委員会」は国連に属す機関ではないのだ。日本報道検証機構代表で弁護士の楊井人文氏はこう指摘する。