ここ数年、日本の玩具は『妖怪ウォッチ』『アナと雪の女王』といった大ヒットキャラクターの関連商品や、スマホ・カメラ・ロボット型のハイテク系玩具の販売などが好調で、3年連続で8000億円を超える有望市場(日本玩具協会調べ)となっている。
6月3日、4日と東京国際展示場(東京ビッグサイト)で一般公開される「東京おもちゃショー2017」。ここでも最新トレンドをめざとく取り入れた注目の玩具が勢揃いしているのだが、昭和生まれの大人世代が思わず「懐かしい!」と口にしてしまうロングセラー玩具の人気も底堅く、市場を下支えしていることがうかがえる。
1958年に初代が登場して以来、来年で発売60周年を迎えるのは、エポック社の『野球盤』だ。“消える魔球”や勢い余っての“場外ホームラン”など、白熱した投打のかけひきに子供のころの記憶が蘇ってくる人も多いだろう。
7月に発売予定の最新シリーズ『野球盤3Dエース オーロラビジョン(税込8618円)』では、イニング表示や実況アナウンスまであるカラー電光掲示板を搭載するなど、よりリアルに進化しているが、盤上で銀玉を操る基本の遊び方は不変だ。
「東京ドームができた1988年に、屋根付きで電動式の『ビッグエッグ野球盤』を発売したこともあるのですが、正直売り上げは伸びませんでした。やはり野球盤の醍醐味は人間どうしがアナログで対戦できること。あまりデジタル需要に偏ると『それならばテレビゲームでいいじゃないか』と見向きもされないことに気づきました」(エポック社・ゲーム事業部の担当者)
1970年代の全盛期には約100万台が売れていたという野球盤だが、テレビゲームの台頭やサッカー人気に押されて1990年代には数万台規模まで低迷した。それだけに付加価値をどこまで追い求めるべきか、同社内でも意見が分かれてきたという。
「従来の野球盤ファンも満足してもらえるよう、基本性能は変えずに進化させてきた結果、2000年以降は昭和ブームも手伝って販売は徐々に持ち直しています。野球盤はわが社の看板商品なので、これからも大切に育てていきます」(前出・担当者)