ワークライフバランスを重視し、仕事と生活のバランスをよくしようと叫ばれてから時間が経っているが、「努力をしている」という話はあっても、「実現できた」というケースは稀だ。「フリースケジュール制」という大胆な働き方を採用したことで、かえってよい結果につなげた事例をとりあげながら、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、働くことと人間との関わり方について考えた。
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大阪府にある「パプアニューギニア海産」は、天然の冷凍エビをエビフライやむきエビに加工し販売する会社だ。もともと石巻市にあったが、東日本大震災で被災し、工場が全壊した。大阪に移転したが、主戦力であるパート従業員がなかなか集まらない。そこで導入したのが「フリースケジュール制度」だった。
この制度は、働きたいときに会社に来ればいい、休むときも連絡しなくていい、というもの。
武藤北斗工場長は、「震災でたくさんの人が亡くなるのを見た。働く人の生活を充実させるような働き方や、気持ちよく働くことを考えた結果、フリースケジュール制にたどり着いた」と言う。
実に型破りな制度だが、これで仕事が回るのだろうか。