オリンピックや世界選手権で多くの金メダルを獲得した中国卓球界の元スーパースターで、中国卓球女子チームの孔令輝監督が、中国共産党の規律違反に問われ取り調べを受けていることが分かった。女子チームがドイツで開催中の世界選手権に参加している最中、監督に対して、ドイツから中国への帰国命令が出されたのだ。そういった状況だっただけに、世界で実力ナンバー1の中国女子チームを動揺させようとする「奇怪な陰謀論との声も出ている」と中国紙「新京報」が報じている。
孔氏は中国黒竜江省ハルビン市生まれで現在41歳。1995年、20歳時の世界選手権天津大会で初出場ながら、初優勝し脚光を浴びる。1996年のアトランタオリンピックでは男子ダブルスで優勝、2000年のシドニー五輪ではシングルで金メダルを獲得、ダブルスでは銀メダルだった。
世界選手権ではシングルやダブルス、団体を含めて計8個の金メダルを獲得するなど、中国の卓球界のスーパースターだったが、2006年10月に引退。その後、女子チームのコーチ、監督を務めていた。
華々しい卓球人生を歩んでいた孔氏だが、昨年2月の春節(旧正月)休暇でシンガポールに旅行した際、親戚や友人と一緒にホテルのカジノで、賭博資金として100万シンガポールドル(約8000万円)を借り入れた。しかし、いまだに半分しか返済しておらず、カジノ側が今年5月、香港の裁判所で返済を求める訴訟を起こしたという。
これを香港メディアが報じたことで、孔氏のギャンブル疑惑が明らかに。中国政府においてスポーツ部門を統括する行政機関である中国体育総局は、孔氏が党員であり公務員としての規律規定に違反している疑いがあるとして、ドイツからの即時帰国を命令したというのだ。現在、北京で身柄を拘束して取り調べているという。