「支持率1桁の森内閣の後を受けて小泉首相が誕生した時、総裁選は盛り上がり、国民の多くは『自分たちが選んだ総理』というイメージを持っていた。だから最初は9割近い常識ではあり得ない高支持率だったが、田中眞紀子外相更迭で大きく下がり、電撃訪朝でまた上がるという具合に、国民の期待感が支持率に直結した。
一方の安倍氏が総裁に返り咲いたとき、国民の意識は『またやるのか』と期待していなかった。期待が低いだけに、『その割には意外にしっかりやっているじゃないか』と好意的に受け止められている。世論調査からもそれがわかる。内閣支持率は景気に連動する傾向がある。
ところが、安倍政権下で景気は『良くない』という回答が多く、看板のアベノミクスは評価されていない。それなのに支持率が高いのは、国民には先が見えない中、政権に期待はしていないが、他の選択肢もないから、せめて現状のままでいてほしいという守りの意識が窺えます」
そんな国民の消極的支持が、政治的には「安倍一強」で誰も逆らえないという人為的な「空気」を生み出している。
※週刊ポスト2017年6月16日号