女性アイドルグループの中で、今やトップクラスの人気を誇る乃木坂46。しかし、彼女たちは自らのキャラゆえ、ジレンマを抱えているという。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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乃木坂46の勢いが止まりません。現在、アイドル誌はもちろん、エンタメ総合誌、テレビ誌、漫画誌など雑誌業界のメインとなり、AKB48グループやジャニーズなどをサブに回すこともあるほどの人気です。
CMでも『バイトル』『明治ロカボーノ』『はるやま』『マウスコンピューター』などに出演。さらに6月1日、『オリコン2017年上半期“本”ランキング』写真集部門で、メンバーのソロ写真集が「トップ7を独占した」ことが明らかになりました。
ただ、テレビ番組への出演は、コアなファン向けの冠番組がほとんど。ファン層を広げられるゴールデンタイムの番組には、わずかしか出演していません。前田敦子さん、大島優子さん、篠田麻里子さんらが活躍していたAKB48の最盛期よりも圧倒的に少ないのはなぜでしょうか。
◆「ビジネスに強くエンタメに弱い」スタイル
テレビ出演が増えない最大の理由は、乃木坂46のアイドルイメージそのものにあります。
清楚・清純な美少女キャラは、諸刃の剣。「穏やかで優しい」優等生のような外見や発言は、目の前のファンを魅了することができる一方、多くの人々に顔と名前を覚えてもらうことが難しいのです。
移り変わりの早いアイドル業界でAKB48が長きに渡って活躍している理由の1つは、キャラの濃さと多彩さ。アンチを作り、バカ扱いをされることも少なくありませんが、だからこそAKB48のメンバーは、バラエティーのスタッフに「このように使おう」という発想を与えられるのです。
乃木坂46のメンバーたちも冠番組では、さまざまな笑いのセンスを見せていますが、それでもグループとビジュアルの持つキャライメージは強く、「バラエティーを盛り上げる戦力にはなりにくい」のが現実。アイドルに限らず現在の芸能界は、「まずはキャラありき」という考え方で、特にテレビのバラエティーは「キャッチーなキャラをいくつ持っているか」がオファーの鍵を握っているのです。
乃木坂46の「清楚・清純な美少女」「穏やかな優等生」というキャラは、現在の芸能界で希少価値が高いのは間違いありません。しかし、ビジュアル先行のスタイルは、ライブ、握手会、写真集などの「客から直接お金を稼ぐビジネスに強い」反面、バラエティーやドラマなどの「出演で報酬を得るエンタメには弱い」のです。
◆グループのオファーばかりになる理由