国内

佐藤愛子エッセイ、『騎士団長殺し』よりなぜよく売れた?

著書が「2017年上半期ベストセラーランキング」で総合第1位に

 出版流通大手のトーハンと日販は6月1日、それぞれ「2017年上半期ベストセラーランキング」を発表した。いずれのランキングでも、総合第1位となったのは、佐藤愛子さんのエッセイ集『九十歳。何がめでたい』だ。トーハンの2位は『伝道の法』(大川隆法・著)、3位は『騎士団長殺し(1・2)』(村上春樹・著)。日販は2位が『騎士団長殺し(1・2)』(村上春樹)、3位が『蜜蜂と遠雷』(恩田陸・著)だ。

 現在90万部を突破する大ベストセラーの『九十歳。何がめでたい』だが、発売は昨年8月。それだけに今回の二冠達成に驚きの声が上がっている。八重洲ブックセンターの内田俊明さんはこう語る。

「まさか両方とも1位とは想像していませんでした。私の実感としては、『騎士団長殺し』か『蜜蜂と遠雷』のどちらかではないかなと思っていました。もちろん、愛子先生の本はずっと売れ続けていますが、今年の新刊でもありませんし、2位か3位ぐらいかなあと」

 4年ぶりの長編として社会現象を巻き起こした村上春樹さんの『騎士団長殺し』、直木賞と本屋大賞を初めてW受賞し話題を呼んだ恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』。いずれもテレビや新聞でも大きく取り上げられた。その2作品よりも『九十歳。何がめでたい』の方が売れたというのだから驚くのも当然だろう。その理由について、内田さんはこう分析する。

「読まれた裾野の違いではないでしょうか。『騎士団長殺し』は、春樹さんのファンは読むけれども、それ以外の人まで裾野が広がっていないと感じます。それは『蜜蜂と遠雷』も同じで、W受賞といっても、普段小説を読み慣れている人や話題の小説は読んでおこうと思われている人は買うけれども、それ以外の人には届いていない気がします。

 一方の『九十歳。何がめでたい』は、50代以上であれば、皆さん気になる題材が書いてありますし、若い人にとっては人生を重ねて来られたからこその貴重な話が書いてありますから、老若男女に読まれる余地がある本なのだと思いますね」

 子供の頃から佐藤さんの本に親しんできたという丸善丸の内本店の高頭佐和子さんもこう話す。

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン