ゼロ戦が復刻され、イベント飛行でその機体が披露された。このことに対して、「戦争賛美でけしからん」と批判する人がいる。果たして、こういった軍事関連から目を背けるべき、という批判は平和を守り戦争を防ぐことへとつながるのか? 評論家の呉智英氏が、平和を守るための軍事研究はどのようにあるべきかについて論じる。
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信頼するに足る日本近現代史家、保阪正康が「ちくま」六月号にこんなことを書いている。
「昭和という歴史を解明するには、『軍事』に一定の知識を持たなければ不明なことがあまりにも多いことに気づいた」「軍事については自分自身で学ぶことこそ重要だとも気づいた」
私は歴史家ではないが、学生時代にやはり最小限の軍事知識は必要だと気づいた。手始めに岩波新書の高木惣吉『太平洋海戦史』と林三郎『太平洋戦争陸戦概史』を読んだのもその頃のことだ。以後気になる軍事・戦史・兵器の本を手に取るようにしてきた。そして、私のまわりの連中がいかに無知で愚かであるか知った。