《女のパンツは心のプロテクター》――小泉今日子(51才)は、2009年「戦う女パンツ編」の中にそう書いた。パンツ→パンティー→黒いレース→四角いパンツ→Tバック…と年齢とともに変化するパンツと女心の機微を綴ったが、それはブラジャーにもいえること。
スポーツブラを卒業した20代はリボンや小花などワンポイントがついたかわいいもの、TPOに合わせて着けるものを毎日変える30代になると、これでもかとレースが施されたインポートもののブラジャーの存在を知る。40~50代になってくると華やかな装飾だけでは通用しなくなり、体形がキープできる機能面を重視しなくてはいけなくなる。
そんなブラの境界線をひょいと飛び越えるのが『ユニクロ』の『ブラトップ』である。キャミソールとの一体化、SMLのサイズ展開で締めつけ感が全くないことによるストレスのなさ、おまけにおっぱいの大きさなど気にせず「ありのままの胸でいい」と謳ったブラトップは、どの年代にとっても「待ってました!」の商品だった。
しかしブラトップがもつ長所は、一方で女性に罪悪感をぐさぐさと植えつけた。東京都在住の主婦・松田亜美さん(仮名・54才)が話す。
「一緒に同年代の友達4人と温泉旅行に行ったときのこと、脱衣所でぎょっとしました。だって全員ブラトップを着けていたから。前は『いかに凝った高そうなブラジャーを着けているか』でマウンティングさえしていたのに、と思うにつけなぁ~んか後ろめたい気持ちになりました」
胸の奥底で『このままじゃいかん』と思ってはいたものの、やめられない『ブラトップ』。そこに登場したのが「ノンワイヤーブラ」だ。ワイヤー独特のしめつけがなく、金属ではない独自の技術できれいな胸の形が維持できるという魔法のようなアイテムに女性たちは飛びついた。
昨年末から各下着メーカーが徐々に発売したにもかかわらず、20代~70代300人に聞いた本誌のアンケートでも、ワイヤーありブラジャー65.6%に次ぐ、55%もの人がノンワイヤーブラを使用していた。