「“性能のいいマシンが参戦する”と聞き、フェラーリやベンツを想像していたら、ジェット機がきた」
ある現役棋士は、破竹の勢いで勝利を重ねる将棋の藤井聡太四段(14才)をそう表現した。歴代2位となる25連勝(6月13日時点)を記録し、扇子やクリアファイルといった藤井四段関連グッズは問い合わせが殺到、発売即完売という状態が続いている。
そのうちの1つが、スイス発の木製知育玩具『cuboro(キュボロ)』。きっかけは、藤井四段の母・裕子さんがテレビのインタビューで、幼少の藤井四段がキュボロで遊んでいたことを明かしたこと。途端に品切れ状態となり、次の出荷予定はなんと7か月待ちの来年1月。ネットオークションでは、約3万2000円のスタンダードセットに7万円もの高値がついている。
「キュボロは積み木とビー玉を組み合わせた立体パズルです。木製のブロックに直線やカーブの溝が彫られたものや、ビー玉が通過する穴があいており、そのブロックを積み重ねて、ビー玉が転がるコースを作って遊びます」(玩具業界関係者)
ブロック自体はシンプルな作りだが、立体的に組み合わせることで無限にコースを生み出せる。幼児教育に詳しい教育評論家の石川幸夫氏は、次のように解説する。
「積み木という単純に造形する楽しみに加えて、ビー玉がうまく転がるようにコースを作ることで論理的思考力や空間認識力の素地ができます。また、途中でトンネルの穴を通る際には、ビー玉が見えなくなります。目に見えない状態でビー玉がどう動いているかを考えることで、想像力を育むことができるでしょう」
棋士にとって「先を読む力」はもっとも重要な能力の1つ。藤井四段の圧倒的な強さの秘訣である「想像力」は、キュボロで鍛えられたのかもしれない。
「藤井四段の場合は将棋に直結する力といえますが、例えば論理的思考力は算数や数学的な能力です。“中学生プロ棋士”というかなり特殊な藤井四段に限らず、一般的な“学力”にも結びつくと思いますよ」(石川氏)
ただ、入手困難なうえ価格設定にも手が出しにくいというのが正直なところ。
「プラレールなど通常は平面的に楽しむおもちゃを、積み木などを使って坂を作ったりして、子供が立体的に遊ぶように応用してみるのもいいでしょう。そこにトンネルを作れば、想像力も働かせられる。子供たちの知的好奇心を刺激して、楽しみながら学ぶことにつながります」(石川氏)
とんびが鷹を…も夢ではない!?
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号