無理心中の見立てから一転、警察官の夫が殺人容疑で逮捕された事件は、地元に大きな衝撃を与えている。6月6日、福岡県小郡市の住宅で中田由紀子さん(享年38)と9才の長男、6才の長女の遺体が発見された。
小学校から「子供が登校していない」と連絡を受けた夫の充容疑者(38才)が、由紀子さんの姉に連絡。家を訪れた姉が110番通報をした。部屋には木炭の煙が充満しており、当初は無理心中だと思われた。
しかし、司法解剖の結果、充容疑者の供述に矛盾が見つかり、8日に逮捕となった。
「由紀子さんの爪からは充容疑者のものと同じDNAが検出されました。ただ、育児ノイローゼだった由紀子さんが殺めた可能性も否めない。充容疑者が子供も殺したとは断定できません」(捜査関係者)
現場となった自宅は、福岡の中心部から車で約30分のところにある。のどかな住宅地が広がり、小さな商店や小学校が点在する。2年前、一家は同市では平均的な大きさの中古住宅を約2000万円で購入し、引っ越してきた。傍からは「理想の家族」に見えていた。
「充さんは福岡県警の巡査部長を務めていました。寡黙でしつけは厳しいけれど子煩悩。地域の子供会やお祭りには家族全員で参加していてね。息子さんはお父さん似で、充さんのマネをしてパトカーが通ると敬礼をするんです。娘さんも最近はお父さんと自転車の特訓をしていました。本当にいい家族だったのに…」(近隣住民)
逮捕された充容疑者は地元の大学を卒業後、24才で福岡県警の採用試験に合格。黙々と仕事に取り組む姿が評価されていた。
一方で、周囲に「子供が成人したら離婚する」と家庭の不満を漏らすこともあった。由紀子さんも、夫の転勤が多いことを知人に相談していた。
「中田さん一家は10年間で5回も引っ越しをしていました。充さんは仕事が合わないと思うとすぐ転属願いを出してしまうそうで…。それで腰を落ち着けたいと由紀子さんのたっての希望で今の家を買ったそうです」(由紀子さんの知人)
福岡県警本部まで1時間という通勤時間にも、充容疑者は不満を抱えていたという。
「そのうえ、最近は由紀子さんに母親との同居を求められていたようです。夫婦仲がうまくいかない上、義母の面倒まで…自分の意思を通せず、じっと我慢しているようでした」(同前)
家庭でのストレスを抱えながら仕事に向かっていた充容疑者。さらに、事件の前日には警部補昇任の二次試験に落ちていた。一体、何が引き金となったのか――そして小学4年生の息子ばかりか小学1年生の娘まで首を絞めた理由とは何なのか。何があっても手をかけていい理由は見当たらない。
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号