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漫画『謝男』作者・板垣恵介氏「究極の手土産は土下座だ」

『どげせん』『謝男』の作者である漫画家・板垣恵介氏

 初対面の挨拶、無理なお願い、失敗の謝罪やお世話になったお礼──ビジネスやプライベートの大切なシーンにおいて、手土産は極めて重要だ。相手の心に必ず残る手土産は何なのか? 『どげせん』『謝男(シャーマン)』などで知られる漫画家の板垣恵介氏が、“究極の手土産”について語る。

 * * *
 手土産は自分の気持ちを相手に伝えるときに、気持ちに添える「目に見えるモノ」。だから、相手に気持ちを伝える“究極の手段”としての「土下座」も、まさに「手土産」のひとつだと思いますね。

『謝男』(日本文芸社刊)で描いたのは、高校教師が生徒に「土下座」という手段を使い、世の理を分からせるというストーリー。本来、教師は生徒の前では圧倒的強者ですよね。その強者が、弱者であるはずの生徒に向かって土下座する。ドラマが生まれる。

 土下座をテーマにした作品を描こうと思ったのは、自分自身の気づきから。ある恩人に対して、ギブアンドテイクの「テイク」ばかりが多くなって、本能的に心苦しく感じるようになった時期がありました。どうやったらそこから解放されるのかと思案したとき「この人の足元にひれ伏したら気持ちが楽になるだろうな」と感じたんです。そこから、〈謝りたいと感じる〉その気持ちこそ〈感謝〉ではないか、と思い至ったんですよ。

 自分は他人に土下座したことはないけど、されたことが2度あります。それも、同じ編集者に2度。思い返せば、これが「最強の手土産」だったかもしれない。だって、10年経ってもその情景がまざまざと思い出せるんですから。

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