たくさんの猫を同時に飼う愛猫家も少なくない昨今。しかし、もともと1匹だけ飼っていたところに、新たな猫が増えるとなると、色々と不安も多いはず。大阪府の女性からこんなお悩みが届いた。
「現在、3才のメスの猫を飼っています。先日、知人から、生まれたばかりの猫を引き取ってくれないかと相談され、検討中です。猫の多頭飼いは初めてなのですが、難しいものでしょうか?」(大阪府・いのさん、45才・自営業)
東京港区で猫専門動物病院「Tokyo Cat Specialists」を営む、国際猫医学会ISFM所属の山本宗伸さんに、猫の多頭飼いの注意点を教えてもらった。
* * *
本来猫は、群れを作らず、単独での行動を好む動物です。新しい猫を迎えることで、ストレスを感じるのはほぼ先住猫です。新たに猫を迎え入れる際は、先住猫が嫉妬しないよう、何事においても優先させるようにしてください。
◆比較的相性がいいのは子猫同士&メス同士
年齢が若いほど、縄張り意識が強くないので、新しい猫を受け入れやすいです。高齢猫がいるところに子猫を迎えるなど、先住猫と新入り猫の年が離れていると、高齢猫の方が負担となります。若い猫は遊んでほしくて先輩猫にちょっかいを出すでしょうが、高齢猫からしたらわずらわしく、本気で威嚇することもあるので注意しましょう。
一般的に、オス同士よりもメス同士の方が仲よくなりやすいようです。質問者・いのさんのご家庭は、3才のメス猫を飼っているとのことなので、できればメスの子猫を引き取った方がいいでしょう。もしオスを迎え入れる場合は必ず去勢をしてください。メスだけ避妊手術をしていてもだめで、襲われてしまいます。
また、頭数を増やしすぎるのもおすすめしません。欧米ではアメリカのサンディエゴなどのように、家の広さによって飼う猫の頭数が決まっている地域もあります。一般的には「部屋の数マイナス1」が望ましいとされています。例えば2LDKなら、2匹までがいいでしょう。
猫も1匹になりたい時があるので、どこの部屋に行っても他の猫がいるという環境はストレスになります。多頭飼いを検討する際は、自宅の広さも考えてください。
◆先住猫との顔合わせは猫のペースに任せて
いざ飼うことが決まったら、徐々に先輩猫と顔を合わせましょう。猫は鼻がきくので新しい猫が家に来たら顔を見ずともすぐに気がつきます。
初日から接触させず、猫のペースに任せて自然と近寄るのを待ちましょう。それぞれの猫が愛用しているブランケットを交換することでにおいに慣れさせる方法も有効です。
また、良心的な里親団体やペットショップは、数日間自宅の愛猫との相性を試すホームステイに対応しているところもありますので、そのようなサービスを利用してみるのもおすすめです。
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号