梅雨時に欠かせない「傘」。素材や色・柄、大きさなど様々な雨傘が売られているが、近年は安価なビニール傘を所有する人の割合が多い。
気象情報会社のウェザーニューズが調べた『傘調査2016』によれば、都道府県別ランキングで傘の所有数トップになったのは東京都の3.4本で、神奈川県、大阪府の3.2本と続く。持っている傘のうちビニール傘の割合を聞いたアンケート結果では、大阪62.5%、埼玉61.3%、東京も58.8%などが半数以上を占め、東京と大阪では平均2.0本のビニール傘を所有しているとの結果も出た。
手軽でシンプルなビニール傘の普及も一因となり、年々深刻になっているのが、人々の傘に対する愛着が薄れていることだ。都内に勤務する30代会社員がいう。
「ビニール傘は買っても買っても出先で忘れてしまうことが多いですし、会社に置いていても、必ず誰かに持ち去られてしまいます。その代わり、自分も明らかに他人の物と思われる新しそうな傘を黙って持ち帰ってしまうこともあるので、ここ数年はよほど急な雨に降られない限り、傘は買っていません」
こうした“カサは天下の回りもの”という風潮の蔓延は、各地で行われている傘の無料貸し出しサービスにも悪影響を及ぼしている。
福井市の女子高生徒らが慈善団体の支援を受けて2006年から続けてきた「愛の傘」活動は、貸し出した傘の返却率が一向に上がらず、累積は1100本に。10年の活動に終止符を打たざるを得なくなった。
また、昨年3月、北海道新幹線の開業に合わせて函館市で始まったビニール傘のレンタルサービスは、駅やフェリーターミナル、空港など6か所で計約2300本の傘を貸し出したものの、戻ってきたのはわずか1割の200本ほど。サービスは1年であえなく廃止されてしまった。
そんな中、レンタル傘サービスを継続させ、返却率70%を誇る企業がある。飲料メーカーのダイドードリンコが2015年10月より関西エリアで行なってきた自動販売機を活用した「レンタルアンブレラ」である。