鉄道の時刻表に「10時59分発」と記されていた場合、その「10時59分」の「●秒」のタイミングで発車するのが妥当なのか。「10時59分50秒」に発車してもよいのではないか? そんな相談が寄せられた。弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
新幹線を利用した際、疑問に思ったことがあります。10時59分発の新幹線が、実際には10時59分02秒に発車したのです。10時59分発なら、10時59分50秒に発車してもかまわないはず。48秒もあれば、乗り遅れそうな人でも乗車できます。なのに、10時59分02秒で発車するのは、鉄道の規則に反していませんか。
【回答】
鉄道事業について定めている鉄道事業法第17条では、鉄道事業者に対して「国土交通省令で定めるところにより、列車の運行計画を定める」ことを求めています。また、この国交省令である鉄道事業法施行規則第35条は、運行計画に定めるべき事項について、路線区間や列車の最高速度などのほか、「定期に運行する列車の発着時刻」をあげています。
この列車の発着時刻が記載された運行計画が、いわゆる時刻表の基になっており、鉄道事業者はこれに従って列車を走らせなくてはなりません。
さて、この運行計画に定められるのは、上記のとおり「発着時刻」です。そこで「時刻」の意味が問題になります。ただし、時刻の定義を定めた法律はありません。世間一般の常識で判断するしかないのです。そして、辞書では時刻とは「時の流れにおけるある瞬間。連続する時間の中のある一点」と解説されています(大辞泉)。