お墓、どこにしますか? お墓の問題は、「どこに入るか」ともう1つ、「誰と入るか」ということも根深い悩みだ。夫や、夫の両親とは、死んだ後まで一緒は嫌。あるいは一緒に入る伴侶がいない──。その時、あなたならどうしますか? ある決断をした女性の話をお届けします。ノンフィクションライターの井上理津子氏がリポートする。
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「還暦を迎えたとき、『あ、もうすぐ母が亡くなった年だ』と思ったんです。母が突然、肺の病気になって、1年余りの闘病で逝ったのが64才でしたから。私は今のところ健康そのものですが、いつ何があってもおかしくない年齢だと自覚すると、急に『お墓、どうしよう?』ともたげてきたんですね」
こう話すのは、静岡県に住む峰田恭子さん(64才・仮名)だ。31才で離婚した。3人の子供と今も近しいが、彼らは元夫の姓を継いでいる。「もし私が自分のお墓を買ったら、子供たちは、元夫のお墓と私のお墓の2つを面倒見ていかなければならなくなり、負担だろう」と思ったそうだ。
「それからです。ネットに『生前に買う』『後継ぎ不要』などの言葉を入れて検索しまくったのは。その条件を満たすのは永代供養墓や共同墓と呼ばれるお墓だとわかった。県内にも県外にもたくさんありましたが、『温かそうだ』とピンときたのが スノードロップさんの埼玉の樹木葬墓地だったんです」
パンフレットを送ってもらい、3回見に行った。自宅から新幹線で東京へ出て、さらに2時間近くかかる距離は「当時、娘が東京にいたし、ちっとも気にならなかった」。案内してくれたスノードロップのスタッフたちが「お商売じゃなく、志でやってらっしゃる」と感じ、好感度が跳ね上がったそうだ。
「決めようとしたとき、樹木葬墓地の隣に、ピンクのかわいいタイルを使った女性用の共同墓がもうすぐ新たに作られると知って、『そっちにします』と即決。節分を待って、後厄が終わるとすぐに契約しました」
峰田さんが契約したのは、NPO法人スノードロップ(埼玉県坂戸市)が運営する埼玉県鳩山町の真言宗・妙光寺内にある女性専用の共同墓「なでしこ」だ。3年前にできた。
なぜ“女性専用”がよかったのか。
峰田さんは「離婚してるからかな」と応えた後、「いや違う違う」と笑い、「う~ん」と考え込んでから、こう言った。
「女子校育ちだからかもね。若い頃、幼稚園教諭と保育士をのべ10年ほどしていました。定年まで17年勤めた一般企業は、圧倒的に男性が多かった。そっちも楽しく勤めましたが、そういえば、学校も職場も女同士って心地よかった…」
文・写真/井上理津子
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号