歌舞伎役者には名跡によって「格」があるように、梨園妻にも“序列”がある。それを決めるのは「夫の格」と「嫁いだ順」とされる。
現在の梨園の格付けの頂点は、人間国宝・坂田藤十郎(85才)と、その妻で参院議長まで務めた扇千景さん(84才)だろう。扇さんは、さながら“梨園のゴッドマザー”だったが、さすがに藤十郎は重鎮として息子や孫の世代の活躍を見守っている。
「最近までは人間国宝・中村吉右衛門夫人の知佐さん(61才)が『彼女の意向で配役が決まる』と噂されるほど力を持っていました。大名跡・尾上菊五郎夫人の富司純子さんらも“格と年季”でヒエラルキーの最上位にいましたが、役者の高齢化に伴って世代交代が進んでいます」(歌舞伎関係者)
大御所世代が一歩引くことによって、舞台で花形を務める世代が台頭しつつある。そうした状況でにわかに影響力がクローズアップされ始めたのが、中村芝翫(51才)の妻である三田寛子(51才)だ。
「当代の人気役者だった中村勘三郎が他界し、大名跡『中村歌右衛門』を継ぐはずの兄・福助は2013年に脳内出血で倒れてから復帰のメドがついていない。三田さんは名実ともに歌舞伎の名門『成駒屋』・『中村屋』系列の頂点に立つ芝翫の妻ですから、“梨園妻の次代のドン”と目されます。しかも、結婚26年目で経験も充分。男の子を3人産んで、みな歌舞伎役者として立派に育っている。とくに長男の橋之助は次世代のエースの呼び声も高いんです」(前出・歌舞伎関係者)
一方で、藤原紀香(45才)の夫で、直系の御曹司ではない片岡愛之助(45才)の格はそれほど高くなく、名門中の名門「成田屋」の御曹司・市川海老蔵(39才)や、将来、勘三郎を継ぐことになる中村勘九郎(35才)には遠く及ばない。このため、愛之助の妻である藤原紀香は、海老蔵の妻・小林麻央(34才)や勘九郎の妻・前田愛(33才)ら、年下の梨園妻より低いランクになる。
「麻央さんは病床にありますし、前田さんもまだまだ若い。しばらくは、“良妻賢母の梨園妻といえば三田”と呼ばれる時代が続くのではないでしょうか」(前出・歌舞伎関係者)
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号