自民党の谷垣禎一・前幹事長がサイクリング中の転倒事故で入院してはや1年近くが経つ。当初は「軽傷」と発表されたが、「頸髄損傷」で手術を受け、入院が長引くにつれて党内では「政界復帰は絶望的ではないか」という見方が広がったこともある。その矢先、内閣改造を控えた官邸筋から仰天人事情報が流れ出した。次の内閣改造で谷垣氏を副総理に起用する案が検討されているというのだ。
本誌・週刊ポストはそのリハビリの様子をキャッチした。東京都内のリハビリ専門病院で食事をする姿を捉えた。食事の介助はなく、30分ほどかけて食事を終えた。表情にはリハビリに励む強い意志が宿り、確かに「政界復帰は近い」との印象を受けた。
「安倍一強」と言われる現在の自民党で、谷垣氏ほど“華麗な経歴”を誇る政治家は他にいない。
橋本内閣の科学技術庁長官として初入閣(1997年)、小渕・森両内閣で金融再生委員長(国務大臣)として金融危機乗り切りの先頭に立ち、小泉内閣では財務相を3期務めるなど閣僚経験は7回を数える。野党に転落した民主党政権時代は自民党総裁として党の立て直しに尽力した後、第2次安倍内閣の法相、さらに自民党幹事長としてこの20年近く政権と党の中枢で腕を振るってきた。
だが、谷垣氏が入院中に党内の情勢は大きく変わった。ライバル不在の安倍首相の前に立ち塞がるように存在感を強めているのが麻生太郎・副総理兼財務相だ。財務相として予算編成権を持つ麻生氏は、外交でも米国のペンス副大統領との間で「日米経済対話」を主宰。いまや外交・内政両面で政権の主導権を握っている。