『明治』がスナック菓子カール(128円)の東日本での販売終了(8月生産分で)を発表して以降、各地で売り切れが続出している。『カール』がなくなると聞いて、改めてお菓子に思いを寄せた人は多いはずだ。そのひとり、ニッチェの江上敬子(32才)はこう語る。
「『カール』は永遠だと思っていたので、なくなると思うとショックです。そんな私もしばらく買っていなくてこのニュースを聞いて買ったひとり。今さらといわれるかもしれませんがなくなって初めてその大切さに気づくこともありますよね。私はアイスの『ピノ』が大大大好きで、ピノがなくなるなんて考えられないので、テレビで“ピノ愛”を語り続けようと思います」
アートディレクターの秋山具義さん(51才)も今回の一件で『カール』を4袋買ったという。
『マルちゃん正麺』(東洋水産)のパッケージやAKB48の『さよならクロール』のCDジャケットデザインなどを担当した秋山さんは、大のお菓子好きだ。
「小学生の頃からカールを食べていますね。とくに好きなのがカレー味で、部屋中ににおうし、手が黄色くなるけどやめられません。そんなことを思い出していたら、昔よく食べていたお菓子がなつかしくて。グリコの『ポッキー』のチョコ部分を歯で削り取って『プリッツ』にしたり、森永の『チョコボール』のキャラメルを全部口に入れて巨大なキャラメルを作ったりしていたら、虫歯になったなぁ (苦笑)」(秋山さん)
デザイナー目線からも昔のお菓子は優れていたと言う。
「『アポロ』(明治)はアポロロケットのカタチで脳でも楽しめたし、12個入りだからということで名づけられた『DARS(ダース)』(森永製菓)のシステムもよかった。カールはロゴデザインも好きですが、ひこねのりおさんが描いたカールおじさんのキャラクターデザインも好きでした。日本の名作お菓子のデザインやロゴ、キャラクターが消えていくのは悲しいですね」(秋山さん)
大好きなお菓子がこれ以上、なくならないために私たちは何をすべきだろうか。そんな問いにコンビニ研究家の田矢信二さんはこう答える。
「まずはシンプルに応援するつもりで食べることです。それからオリジナルの食べ方をSNSで発信すれば、多くの人が“マネしてみよう”という心理になり、思わぬ大ヒットにつながります。今まではメーカー主役の商品戦略でしたが、今の時代はお客様が主役なんです」
すでにSNS経由でお菓子の意外な楽しみ方は拡散している。たとえば『リッツ』(モンデリーズ・ジャパン)にあんこを挟んだ“リッツあんこサンド”や、新感覚のグミ『コロロ』(UHA味覚糖)を凍らして白ワインに入れて味わう“コロロ白ワイン漬”がある。
前出・秋山さんがカールのためにと教えてくれたのは“カール+板チョコ”の組み合わせだ。
「『カール』の『C』の部分に板チョコのかけらを挟んで食べると甘塩っぱくておいしいんです。ちなみに、板チョコは薄いタイプより厚みのあるタイプのほうがピタッとはまっておすすめです」(秋山さん)
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号