身だしなみを整えるのに必要な爪切り。しかし体が硬いと、足の爪を切るために、腕や手首を無理な角度にしたり、脚を余計に曲げたりと、困難な姿勢をとらなくてはならない。 しかも、お腹が出ていたり、腰痛やけががあったりすると、爪を切るのがますます難しくなる。
そんな悩みを解消すべく2003年に誕生したのが、『小坂刃物製作所』(岐阜県関市)の“コフの爪切り Griff”(8100円)だ。
「体勢を変えるのではなく、爪切り自体が自由に動けば、もっと楽になると思って、刃先の向きが360度回転し、どの角度からでも爪が切れる、ユニバーサルデザインの爪切りを考えました」
と、同社社長の小坂春雄さんは笑顔で話す。スタイリッシュなデザインと、使い勝手の良さから幅広い世代に人気を集めているが、発売から約15年が経ち、愛用者から改良を望む声が多くなった。そこで、その声を集めた進化版が今春完成。5月より発売を始めた。
「以前は、刃先からレバーの先端までがほぼ真っ直ぐの、平面的なデザインで、レバーは長く、開きも大きくしていました。でも、これだと爪を切る時、手を大きく広げないと持てないのですが、その動作さえ、つらい人がいることがわかりました。かといって、その“開き”を狭めてしまうと、爪を切るために強い力が必要になる…。
そこで、指がかかりやすいように、2か所に突起のあるフィン(足ヒレ)のような形のレバーを生み出しました。下側もアーチ状になっているので、大きな手でも小さな手でも握れて、軽い力で簡単に切れます」(小坂さん)
刃材にはハイカーボンステンレス鋼を使用。ハッチ式真空処理炉で行う焼き入れなど、すべて自社工場で生産している。錆に強く、心地よい切れ味が長く続く、刃物の町ならではの逸品だ。
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号