『明治』がスナック菓子『カール』(128円)の8月生産分をもって東日本での販売終了を発表して以降、各地で売り切れが続出。お菓子ファンの悲鳴が日に日に大きくなっている。
ダイエット中、夕飯前、あるいはお夜食で、こっそり食べたお菓子が誰にでも1つはあるだろう。罪悪感とともに、口いっぱい胸いっぱい広がる味は、他に代わるモノがない、得も言われぬ幸福を運んできてくれたハズだ。
だからこそ、ここまで読んできて寂しさと不安でいっぱいになったかたも多いことだろう。しかし、残念な話ばかりではない。一度消滅したお菓子が復活することもあるのだ。
『サイコロキャラメル』は昨年3月に生産を終了したが、製造販売をしていた明治の子会社である『道南食品』(北海道函館市)が「北海道限定の土産用商品」として昨年6月に復活させた。『サイコロキャラメル』の製造に誇りを持つ同社の社長が自ら「引き継ぎたい」と明治本社に直談判したという。
木村カエラ(32才)が大ファンという激辛菓子『とうがらしの種』も生き返った。1986年発売のロングセラー商品だったが近年は売り上げがふるわず、製造元の『みながわ製菓』(新潟県上越市)が2016年8月に事業を停止した。助け船を出したのはライバルの『越後製菓』(新潟県長岡市)だった。
「同じ新潟で競合するけど仲間意識もあり、何とかウチで復活させたかったんです。それでウチの社長と『みながわ製菓』の社長が話し合って、商標権を譲渡してもらいました」(越後製菓管理部・山谷浩隆さん)
今年2月、『越後製菓』は『とうがらしの種』の販売を開始。パッケージは『みながわ製菓』時代のままだった。
「お客様にすれば、パッケージは昔と同じ方が嬉しいですよね。味つけもほとんど変えず、食感を少しだけ変えました。お客様からは『復活させてくれてありがとう』との声が圧倒的に多いです」(山谷さん)
“熱い思い”があれば夢は叶うのだ。結局、“カール騒動”とは何だったのか。
「改めてわかったのは、日本人はお菓子への愛着度が高いということ。でも積極的に買って食べないと、商品はなくなってしまう事実を目撃しました。『いつまでも、あると思うな好きな菓子』という警句を心に刻みたいですね」(田矢さん)
大人になると、子供の手前とかいろんな理由をこじつけてなんとなく買わなくなったお菓子だけど、それにつけても大好きだった頃の思い出は消えない。何も難しいことじゃない。ただ好きなお菓子を買って食べればいいのだ。さくさくポリポリ、もちもち、さぁ今日はどれにしようかな。
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号