習近平氏の反腐敗運動が続く
中国国内の治安維持を担当する武装警察部隊の幹部ら19人が6月中旬の1週間で、解任されていたことが明らかになった。これほど多数の幹部がこの短期間で解任・交代するのは、これまで例がない。しかも、北京の武警本部のほか、地方の12省の最高幹部も含まれており、全国にまたがるのも極めて異例。
汚職摘発のほか、今年秋の中国共産党の第19回党大会を前に、習近平国家主席が軍や政法関係部門での実権掌握を急いでいるとの見方が有力だ。
中国メディアの「財新網(ネット)」によると、19人は武装警察の政治工作部の程偉副主任のほか、北京や天津、重慶など地方を統括する幹部らで、全国の3分の1に当たる12省の武装警察部隊の幹部が交替。このうち、雲南省など7省では司令官、甘粛省など4省では政治委員、チベット自治区では司令官、政治委員ともに解任されている。
中国国防省は昨年12月、軍の検察機関が武装警察の司令官を務めた王建平・元軍統合参謀部副参謀長を収賄の疑いで調査していると明らかにした。19人は王氏らとの関係が深かったとされる。
その王氏自身も武警や警察、司法関係機関を一手に管轄する党政法委員会書記で、巨額の汚職や国家機密漏えいなどの罪で終身刑を受けた周永康・元党政治局常務委員に近い人物として知られており、香港紙「星島日報」は「一連の粛清人事」との見方を伝えている。
武警は65万人の陣容を抱え人民解放軍の陸軍に次ぐ規模で、ロケットランチャーなど重火器等を配備するなど一大軍事集団で、軍権掌握とも密接な関係がある。