加計学園問題で追い込まれた官邸側は内部情報を次々と流出させる霞が関への報復に動き出した。だが、その先にはさらに巨大な“地雷”が埋まっているのかもしれない──。
官邸が関与を否定するたびに、それをあざ笑うように新たな証拠文書が出てくるのだから、安倍晋三首相の面子は丸潰れだ。菅義偉官房長官が“怪文書”と貶めた〈総理のご意向〉文書は文科省の再調査で本物と認めざるを得なくなり、安倍首相自身が国会閉会にあたっての会見で「(獣医学部新設のプロセスに)一点の曇りもない」と胸を張った直後に、6月19日のNHKの「クローズアップ現代+」で新文書が報じられた。松野博一・文科相はこの新文書も本物と認めざるを得なくなり、まさに泥縄だ。
「官僚人事を握る菅官房長官は、一連の情報リークに激怒している。これが他省庁にまで広がる前に7月の文科省人事で大鉈を振るい、反乱軍の息の根を止めるつもりだ」(官邸官僚)
文書の存在の再調査も、それを名目にした情報流出の“犯人捜し”と証拠集めが真の目的だと見られる。
「粛清」に向けた動きの先鞭は、再調査が始まった後の義家弘介・文科副大臣の国会での発言だ。「非公知の行政運営上のプロセスを許可なく外部に流出させることは、国家公務員法(違反)になる可能性がある」と公然と処分の可能性に言及したのである。
粛清対象と見られているのは、文書の発信元とされる同省高等教育局専門教育課の女性課長補佐、その上司の課長、高等教育局長も監督責任は免れそうにない。公然と政権を批判した前川喜平・前文科事務次官の元部下で、省内で「喜平隊」と呼ばれる前川派官僚にも及ぶという見方もある。
※週刊ポスト2017年7月7日号