驚くべき事件、という言うしかない。一方で、教育や情報伝達の精度についても考えさせられる話だ。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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便秘解消の秘訣は──。洋の東西を問わず強い便秘に悩む人々にとって、便秘解消の秘訣などといわれれば、飛びつきたくなるのが人情というものだ。それがたとえ民間の言い伝えで、医学的な裏付けがなくとも……。
だが、やはり最低限の検証は必要である。そんな教訓を与えてくれるニュースが中国・広東省で話題となった。被害者は劉という49歳の男性。劉さんは長年便秘に悩み、この日も新たな便秘解消法を試したのだった。
それは、生きたウナギを肛門から入れるという方法だった。ウナギのどう猛さを知っていれば、考えただけで背筋の凍る話だが、劉さんは迷信的な民間療法を素直に信じて実践したという。
悲劇は間もなく訪れる。激しい腹痛を訴えて劉さんは広州市白雲区の東仁医院に担ぎ込まれた。医師は劉さんの腹部が不自然に膨らんでいることを訝しく思い、直ちに手術を行った。すると、腹の中から大量の糞便が溢れて出てきたのだったが、それ以上に医師を驚かせたのは、それらと一緒に約50センチメートルはあろうかというウナギが出てきたことだったという。
まさに九死に一生を得た劉さんだが、なんでウナギが効果があるのかという指摘には、「ウナギの表面のヌルヌルが排便を助けるのだ」と答えたという。
ならばわざわざ生きているウナギを入れなくてもよかったのでは、との疑問も浮かぶが、後の祭りだ。