朝から降り続いた雨は、彼女が深い愛情を注ぎ続けた3人の到着を待ちわびていたかのように、静かに上がった。6月25日夕方、都内にある市川海老蔵(39才)の実家で、小林麻央さん(享年34)の「みたまうつしの儀」が行われた。一般でいうところの通夜にあたり、故人の身体から魂を「御霊代」にうつす神道の儀式だ。
その日、主演舞台『ABKAI 2017 ~石川五右衛門 外伝~』の千秋楽を終えたばかりの海老蔵は、長女・麗禾ちゃん(5才)と長男・勸玄くん(4才)を連れて、目を閉じたままのママのそばにそっと寄り添った。麻央さんとの別れを惜しむ人の中には、“一卵性姉妹”といわれた姉・小林麻耶(37才)や松たか子(40才)の姿もあった。
「亡くなる前日までは会話もできていましたが、当日の朝には話すこともできなくなっていました。別れの瞬間には海老蔵さんと麗禾ちゃん、勸玄くんのほか、麻耶さんと両親も立ち会ったそうです。麻央さんの両親はお父さんが出て行く形で長らく別居状態が続いていたんですが、決して没交渉というわけではなく、結婚後、麻央さんと麻耶さん、海老蔵さんにお父さんを加えた4人で食事に行ったりしたこともあったそうです」(小林家の知人)
麻央さんの死から一夜明けた23日も、海老蔵は舞台に立っていた。
「それが歌舞伎役者の宿命だから」。そう気丈な言葉を漏らした一方で、最愛の人を亡くした憔悴は隠しきれない。舞台関係者が明かす。
「期間中、海老蔵さんは共演者たちの控え室に顔を出しては、山田純大さん(44才)や前野朋哉さん(31才)の顔にメイク道具で落書きしたりして、座長として舞台裏での雰囲気づくりにも努めていました。ただ、麻央さんが亡くなってから千秋楽までの3日間は、やっぱり口数も少なくて…。麗禾ちゃんは楽屋で舞台スタッフに“ママが死んじゃったの”って言うんですよ。でも、泣いたり悲しそうなそぶりは見せなくて、むしろいつもより楽しそうに遊び回ってるんです。他の出演者と変顔ごっこしたり、追いかけっこしたり。きっと、お父さんに心配をかけたくないから、無理に明るく振る舞ってたんだと思うんです。本当に胸が痛みました。勸玄くんも明らかに元気がありませんでした」
5月29日に退院して自宅に戻ってからも、麻央さんの体は高熱に襲われ、全身に痛みが走った。6月に入ると、痛み止めの効果さえ薄れてしまっていた。それでも、最愛の家族に囲まれて過ごした最後の1か月弱は麻央さんにとって心安まる時間だったのだろう。その感謝が表れたのが、海老蔵にかけた「愛している」という今際の言葉だったのかもしれない。
※女性セブン2017年7月13日号