女性セブンの名物還暦記者“オバ記者“こと野原広子が、様々な事象をぶった斬る! 今回は朝ドラ『ひよっこ』のお話です。
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腹が立つほどではないけどNHK朝ドラ『ひよっこ』の、日ごとにつのるこのモヤモヤをどうしてくれよう。
ドラマが始まったばかりは絶好調。「あんなの茨城弁じゃない」とブーブー言っていたわが郷里の茨城県の友達も、ドラマの面白さにしだいに声が小さくなったもんね。
それより、みんなで雑魚寝をする向島電機の社員寮『乙女寮』の明け暮れや、食堂、コーラス部がほっこりと温かくて、「『走れトロイカ』、歌いたかった」だって。
問題は舞台が赤坂に移ってからよ──。
◆青いスラックスを月の小遣い900円の勤労少女がはくか?
みね子の時代に遅れること10年。茨城の高卒の私はボストンバッグ一つで上野駅10番ホームに降り立ち、社員寮付きの靴屋に就職。初任給は7万5000円で、そのうち強制貯金が月々2万5000円。
食費と寮費と税金など引かれ、手元に残るのは1万2000円。月4日の休みの日の食事代と、必要最小限の生活雑貨を買ったら、残る千円札は1~2枚。洋服なんか買えないって。
ましてやバッグや靴。靴の替えは1足あるかないかだったけど、みんなそんなものだったのよね。
なのにドラマのみね子は服をとっかえひっかえ。母親のお手製のチェックのブラウスはおしゃれだし、靴、バッグもいくつも持っている。青いスラックスなんて、月の小遣い900円で、5000円の仕送りをしている勤労少女がはくか?
『あかね荘』の不愛想な“事務員”のメイクがまったく今風というのも雑すぎやしないか。
このあたりをしっかり描いてくれないと、ホロリの場面でも気持ちがつっかえて泣くに泣けないのよ。
それだけじゃない。銭湯通いも首を傾げたね。田舎娘が大勢の前で裸になるときの恐怖とためらいといったら…。それなのに、みね子も向島電機の面々も屈託がない。
◆田舎娘がすずふり亭の女将と連れ立って銭湯に行くか?