腸こそが、健康の源となる重要な臓器である。この中には、600兆個以上の腸内細菌が存在するが、健康長寿に大きな影響を及ぼす“長寿菌”の存在が、最近の研究で明らかになった。
長寿菌とは、理化学研究所特別招聘研究員で腸内細菌の世界的権威である辨野義己さんが、2016年に名づけた、大腸内のいわゆる“善玉菌”グループのこと。
「健康で長寿のかたの便を調べたところ、『ビフィズス菌』と『酪酸産生菌』という腸内細菌が多く検出されました。『酪酸産生菌』が産出する酪酸は、がん細胞の増殖を抑えて免疫力を上げる働きがあります。これらに、善玉菌の代表格である『ビフィズス菌』を加えた2つを、『長寿菌』と定義しました」(辨野さん)
辨野さんが、“長寿の島”で知られる鹿児島・徳之島を訪れ、80~90代の元気なお年寄りの便を調べたところ、検出された腸内細菌の約4~6割が長寿菌だったという。その他の、健康長寿なお年寄りの便にも長寿菌が多かったことから、辨野さんは、腸内細菌のうち長寿菌が4~6割を占めていれば、健康長寿になれると確信したよう。
◆お腹に長寿菌がいるかどうか調べられる
自分のお腹に長寿菌がどれほどいるか、わかる方法がある。理化学研究所認定の研究機関サイキンソーが行う腸内細菌叢検査サービス「マイキンソー」がそれだ。自宅で採った便を送ると、その便をDNA解析して腸内フローラの状態を教えてくれる。2015年からサービスを始め、現在までに2000人近くが利用しているという。
「検査でわかるのは、太りやすさ、腸のタイプ、菌の多様性、菌の構成比率など。ビフィズス菌、乳酸産生菌、酪酸産生菌、エクオール産生菌といった、健康に欠かせない4種の菌が平均より多いか少ないかもわかります」(サイキンソー代表取締役 沢井悠さん・以下同)
さらに、利用者に最適な生活習慣や食事の改善方法もアドバイスしてくれる。
「自分に必要な菌は人それぞれですが、万人にいえることは、腸内細菌のエサとなる水溶性食物繊維、オリゴ糖、冷ご飯などに含まれるレジスタントスターチをバランスよく摂ることで腸内環境は整えられます」
自分の腸内の状態を知って、効率よく“ウン活“したい。
※女性セブン2017年7月13日号