競馬予想のファクターのひとつに「展開」がある。どの馬が逃げるのか、ペースはどうか、差しは届くのか。そして勝つためには何をすればいいのか。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、勝ち負けを左右する「展開」の妙について解説する。
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少し遡りますが、今年のダービーほど「展開」を痛感させられたレースはなかったのではないでしょうか。
レイデオロの勝ち時計は2分26秒9。前の週に行なわれたオークス(2分24秒1)よりも2.8秒、また同日ということなら8Rの1000万条件青嵐賞の勝ち馬(2分23秒8)よりも3秒以上も遅い。前日同舞台同距離で行なわれた3歳500万下も2分26秒3が勝ち時計です。
だからといって、レイデオロの能力が劣っているというわけではない。上がりの33.8秒はオークスや青嵐賞よりも速く、レースのレベルも決して低くない。強いダービー馬です。