6月14日、ロンドンの24階建て高層マンションで火災が発生し、80人の死者が出る大惨事となった(6月26日現在)。この火災を目の当たりにして、高層マンションで生活することが怖くなったという人もいるかもしれない。しかし、目下高層マンションに住む住人は、気軽に引っ越せるものでもない。なにより自分の住まいに愛着もあるだろう。
では、高層マンションに住みつつ、いざという時に気をつけるべき点はなにか。防災・危機管理アドバイザーで防災システム研究所所長の山村武彦氏が語る。
「日本のマンションの壁は防火性の高い素材が使われていますが、室内のカーテンやカーペットにも気を配りましょう。そこから火が伝わる可能性もあるので、防火製にすることがおすすめです。上下階や隣の部屋からの延焼を防ぐためにも、バルコニーに燃えやすい物を置かないことも重要。以前、千代田区のマンションで住人が焼身自殺を図ったことがあったのですが、上の階に住んでいた中学生が、バルコニーにあった段ボールや洗濯物を取り込み、見事延焼を防いだことがありました」(山村氏)
これから高層マンションに住もうと考えている人は、次の点を要チェック。
「内覧の際、防火扉の前に物が置かれていないか、非常階段はしっかり通れるようになっているかを確認しましょう。直近の消防署の査察がいつか、その時の点検結果を管理人に聞いておくのもいいです。エントランスや階段などの共有スペースもチェックポイント。他の住人の防災意識が表れますからね。たばこの吸い殻がたくさん捨てられていたり、廊下に私物が置かれていたりする物件は考えもの。防災を考える上では、どこに住むかだけでなく、誰と住むかも重要なのです」(山村氏)
いざ火災にあった時は、閉じ込められる可能性があるエレベーターは厳禁。加えて、どの階段を使うかも重大ポイントになる。
「火災が起きた時、防災センターから何階の何号室で発生、という緊急放送が流れます。それを聞いて、逆側の階段から地上を目指しましょう。火災でいちばん怖いのは煙による一酸化炭素中毒。極力煙から離れるように逃げるのです。どうしても煙の中を歩く際は、姿勢を低く、ハンカチで口と鼻をふさぐ。その際、ハンカチを濡らす必要はありません。濡らしても濡らしていなくても、除煙効果は変わらないんです」(山村氏)
知識と心がけで、最悪の事態は防ぐことができる。
※女性セブン2017年7月13日号