日本のマグロの未成魚にたいして乱獲が依然続いている。果たして有効な打つ手はあるのか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が語る。
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日本は「もったいない(MOTTAINAI)」の国だと言われる。確かに言葉の発祥としてはそうだろう。もっとも、日本が食料にまつわる環境意識について意識の高い国かというとそれも違う。2013年の本稿で「マグロ 未成魚乱獲で絶滅危機のウナギの二の舞になる危険も」という記事を書いた。
一部のまき網漁がクロマグロの幼魚を根こそぎ水揚げしてしまい、結果、クロマグロの水揚げの99%が3歳以下の小型のものに。味がよく単価が高くなるはずの大型成魚の漁獲量が激減し、クロマグロが危機的な状況に陥っていると。自主規制は一応されているが、機能しているとは言い難い。ならば、強制力のある規制が必要だという趣旨の記事だった
ところがあれから4年が経過したいまも状況は改善されていない。スーパーに行けば当たり前のように「ホンマグロ(ヨコワ)」、「メジマグロ」という表示のマグロが売られている。小型のマグロが「特売」という名目で、安値で叩き売られているのだ(しかもわりと売れ残っている)。
クロマグロは国際的な漁獲規制の対象になっている。当然、漁には国の広域漁業調整委員会の承認が必要だ。しかし今年、全国で無承認操業船や、漁獲の未報告が続々と発覚した。さらに深刻だったのは、まき網漁船による漁だ。小型船のベテラン漁師は「大手水産会社のまき網漁は産卵期のマグロや未成魚を一網打尽にしてしまう。この数年、まき網の連中は何も変わっていない」と言う。卵を生む親魚やこれから大きくなる未成魚を乱獲すれば、成魚の漁獲が減少するのも同じだ。