腸は単なる便の製造機ではない。役割としては、酵素、ビタミン、ホルモンをつくることや、免疫機能の7割を担っているということだ。そして、腸粘膜を丈夫にするといわれているのが、ネバネバ食品である。長寿菌(善玉菌の代表格である『ビフィズス菌』とがん細胞の増殖を抑えて免疫力を上げる『酪酸産生菌』の総称)などの腸内細菌を活性化させるだけでなく、腸自体を元気にする食品もある。それが、オクラ、納豆、なめこ、めかぶ、山いもなど。
ネバネバの成分は糖を含んだたんぱく質で、多糖類(ポリサッカライド)と呼ばれている。この成分には、腸粘膜を丈夫にして、免疫力を高める効果がある。
これらの食材は食物繊維も多く含んでおり、さらに納豆には血液をサラサラにする効果、めかぶにはがん細胞の増殖を抑える効果、山いもには新陳代謝や胃腸の働きを助ける効果がある。
長寿菌の名付けの親、理化学研究所特別招聘研究員で腸内細菌の世界的権威である辨野義己さんはこう語る。
「私自身、肉が大好きで野菜やヨーグルトが嫌いだったのですが、野菜、発酵食品、ネバネバ食品に加え、運動を習慣づけたところ、88kgあった体重が72kgにまで減り、それを18年キープできるようになりました」
健康になるだけでなく、ダイエット効果も期待できるのだ。
長寿菌を増やすには、食物繊維とプロバイオティクスである発酵食品を一緒に摂ることが大切だ。例えば、わかめのみそ汁は、食物繊維と発酵食品の代表的な組み合わせ。これらは腸内環境を改善するだけでなく、わかめに含まれるビタミンKと大豆に含まれるイソフラボンが骨を強くしてくれる。
食物繊維と発酵食品の組み合わせで、特に辨野さんがおすすめする“ベストカップル”は、
・アスパラガス × チーズ
・ブロッコチー × チーズ
・大和いも × 納豆
・アーモンド × はちみつ × ヨーグルト
・ドライいちじく × ヨーグルト
・キウイフルーツ × ヨーグルト
となっている。
「私が調べた長寿地域のお年寄りはみな、単に長生きなだけでなく、90才になっても農作業をしているような元気な人たちばかり。これは、食物繊維豊富な野菜をたっぷり食べることで腸内環境を整えると同時に、健康効果の高いビタミンやミネラルを同時に摂っているからです」(辨野さん)
「食物繊維+発酵食品」の組み合わせを食生活に加えれば、長生きも夢じゃない。
※女性セブン2017年7月13日号