妻・小林麻央(享年34)の死後、長男・勸玄くん(4)の7月の歌舞伎座出演のための稽古をつけたり、子供たちのお弁当を作ったりと、シングルファーザーとして忙しい日々を送る市川海老蔵(39)。だが、父親業だけに専念しているわけにもいかないようだ。成田屋の関係者が語る。
「海老蔵さんは2020年の東京五輪に合わせて十三代目・市川團十郎を襲名することが既定路線となっている。歌舞伎界として、世界中が注目するオリンピックの場で新・團十郎をお披露目したいという目算です」
「市川團十郎」は歌舞伎の創成期以来350年にわたり、市川宗家に受け継がれる大名跡だ。「尾上菊五郎」、「松本幸四郎」など梨園に名跡は多々あるが、團十郎の名は別格とされる。『悲劇の名門 團十郎十二代』の著者・中川右介氏が解説する。
「江戸の歌舞伎は初代團十郎が作りあげたもの。名跡の世襲を始めたのも初代。明治以降も江戸歌舞伎は、團十郎を主役とすることを前提として栄えていった。現在約30の家がある歌舞伎界で“宗家”と名乗るのは成田屋だけ。家の格は揺るぎないナンバーワンです」
そこで切り離せないのが“梨園の妻”の存在だという。梨園では「舞台の中は役者の仕事。外は妻の仕事」との言葉があるように、芝居以外は雑事に至るまで妻が取り仕切るのが一般的だ。襲名ともなれば、贔屓筋への挨拶まわりの順番決めから、引き出物の手配まで、すべては妻の仕事となる。