ライフ

犬が吐いた場合、まずは「嘔吐」か「吐出」かの判断を

犬が吐いたとき、病気かどうかの見極めは?(Ph:Thinkstock/Getty Images)

 愛犬が吐いてしまい、心配したという経験がある方は少なくない。いくら周りの愛犬家に「大丈夫だ」と言われても、やはり不安にはなるものだ。そんな悩みを抱えた神奈川県の女性から質問がきた。

「わが家の愛犬は56才のポメラニアン。食後によく吐くので、知人に相談したところ、“犬はよく吐くので問題ない”と。でも、あまりに頻度が多いので心配です。病気なのでしょうか?」
神奈川県・けーこ(56才・パート)

 循環器が専門の白金高輪動物病院総院長・佐藤貴紀さんに、犬が吐く原因を教えてもらった。

 * * *
 犬が吐くといっても“嘔吐”と“吐出”があります。

 嘔吐は、胃や腸の内容物が食道を通って口から吐き出される状態をいい、吐く前に悪心などの前兆が見られます。食後しばらくしてから吐くことが多く、吐物は消化された食物や胃液などになります。

 嘔吐の原因として最も多いのが胃腸炎です。その他、朝に多く見られる場合は、空腹時の胃酸過多の可能性がいちばん高く、その他に基礎疾患として、内臓疾患、内分泌疾患、中毒症状、感染症などが考えられます。

 一方吐出は、食物が胃に入る前に逆流し、吐き出される状態をいい、悪心などの前兆は見られません。食後すぐ吐くことがほとんどで、吐物は未消化な食物や唾液など。吐出の原因としては、食道炎や、食道の機能が損なわれて食道が拡張する巨大食道症、または腫瘍や先天的異常などが考えられます。

 嘔吐なのか吐出なのかの判断は、吐物の内容や吐いたタイミングである程度わかります。食後すぐに未消化の食物が出てきた場合は吐出を疑いましょう。吐き気で何度も飲み込むような仕草をする場合も吐出の可能性が高いです。それ以外は嘔吐になります。

 嘔吐以外にどのような症状があるかで応急処置が変わります。飼い主は慌てずに状況を判断することが大切です。もし、食欲がない、元気がない場合は、緊急性を要しますので、すぐに病院へ。

 嘔吐と一緒に起きる症状で最も多いのが、下痢です。この場合、成犬であれば、まずは食事を1回抜いてみましょう。その後も食事の量を減らし、軟らかく消化のよいものを少量ずつ、3~4回に分けて与えてください。

 朝もしくは空腹時に吐く場合は、胃酸過多が考えられるため、食事の回数を増やしてみましょう。その他、嘔吐が慢性的に続く、吐物に血液が混じる、吐物の量が多いなどの場合は、早めに受診を。

 下痢や軟便の場合は糞便検査も必要となりますので、受診の際は、便も一緒に持参すると検査がスムーズです。犬は確かによく吐きますが、病気の可能性もあるので、注意して観察をし、素人判断はせず、獣医師などの専門家に相談しましょう。

※女性セブン2017年7月13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
調子が上向く渋野日向子(時事通信フォト)
《渋野日向子が全米女子7位の快挙》悔し涙に見えた“完全復活への兆し” シブコは「メジャーだけ強い」のではなく「メジャーを獲ることに集中している」
週刊ポスト
1966年はビートルズの初来日、ウルトラマンの放送開始などが話題を呼んだ(時事通信フォト)
《2026年に“令和の丙午”来たる》「義母から『これだから“丙午生まれの女”は』と…」迷信に翻弄された“昭和の丙午生まれ”女性のリアルな60年
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト