6月、公明党の機関紙「公明新聞」の都議選候補者への応援が、どんどんボルテージを上げていた。紙面に並ぶ候補者たちの写真はみな、眉はつり上がり、眉間には皺が刻まれ、歯をむき出しに大きく開いた口。有権者に顔を売るためのポスターや街頭演説では「候補者は笑顔」が当たり前だけに、揃って“般若”のような形相はちょっと恐い……。
都議選告示まで12日となった6月11日の日曜版では、〈混戦突破へ 大攻勢を〉の見出しで、1面に8人の候補者全員が歯をむき出しに演説する写真を掲載。その後も、〈総立ちで猛拡大を〉〈残り1 共産と競り合う 激戦突破へ猛拡大を〉〈共産先行、重大局面に 切り崩し受け圏外 他を圧倒する大攻勢を〉といった見出しが並び、19日には〈7最激戦区で公明危うし 情勢急変、当落線上で大接戦〉として、11日よりさらに険しい鬼の形相と化した候補者たちの写真を並べている。
その熱量が、都政関係者の間で密かに話題になっていたのだ。
「公明新聞の紙面上で“これでは負けてしまう。もっと応援しよう”と危機感をあおるやり方は選挙報道の度に見られますが、さすがに今回はいかめしい写真に戦意高揚の見出しが並び、“戦時中の新聞のようだ”と驚かれています。これは公明党がそれほど今回の都議選に懸けていたことの表われです」(全国紙の公明党担当記者)
公明党は「平和の党」のはずなのだが……。
※週刊ポスト2017年7月14日号