近年、東京や大阪など大都市に続々と進出してきた外資系の高級ホテルだが、ここにきてその主戦場が地方に移りつつある。沖縄をはじめ有名観光地やリゾート地での開業を目指す外資系ホテルの狙いとは──。ホテル評論家の瀧澤信秋氏がレポートする。
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2007年問題、2014年問題と業界を賑わした東京への外資系ホテルの進出も一段落した感がある。大阪へも世界ブランドの進出は続いてきたが、今年6月に開業した「コンラッド大阪」以降目立つトピックはない。
外資系と一括りにしてもブランドは様々。コンラッドはヒルトンの上級ブランドであるし、同じく大阪のセントレジスはシェラトンやウェスティンなどで有名なスターウッドの上級ブランド。そのスターウッドを買収しまさに世界最大のチェーンとなったマリオットも多彩なブランド・カテゴリーを展開する。
新大阪駅に近接する「コートヤード・バイ・マリオット 新大阪ステーション」はマリオットのカジュアルブランド。駅徒歩1分という立地条件ゆえ、インバウンドの観光客はもちろんであるが、ビジネスパーソンの取り込みも重視している。
カジュアルブランドといったカテゴリーには珍しく、エグゼクティブラウンジも設置されており好評だ。支配人の木村規子氏は、「利便性と機能性を重視しつつ、世界ブランドとしてのスタイリッシュさとクオリティを保つことを大切にしている」と言う。
大都市部に進出してきた外資系ブランドは多彩な展開を見せてきたが、国内進出の今後を見ると観光地・リゾート地への進出予定が目立つ。
中でも沖縄では、「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄(2018)」「ダブルツリー・リゾートbyヒルトン沖縄北谷(2018)」「マリオットリゾート&スパ イシガキジマ(2019)」「フォーシーズンズホテル沖縄(2020)」とオリンピックイヤーまで開業が目白押し。
沖縄以外に着目してみると、「ハイアット リージェンシー 横浜(2019)」「パーク ハイアット 京都(2019)」「パーク ハイアット ニセコ HANAZONO(2019)」「リッツ・カールトンリザーブ ニセコ(2020)」「ザ・リッツ・カールトン日光(2020)」など、有名観光地・リゾート地を外資系ホテルが席巻しそうだ。(カッコ内は開業予定年)。
いずれも、堅調なインバウンド需要も視野に入れつつ、国内の富裕層もターゲットにする。「繊細なサービスを求める日本人客にも支持されるホテルづくりが重要だ」と関係者はいう。
依然としてインバウンド需要に沸くホテル業界。これら外資系ホテルもインバウンドに着目しているのは当然である一方、ワールドクラスのホテル進出は、われわれ日本人にも関心のあるニュースだ。
外資系ラグジュアリーホテルを日常的に利用しているのは富裕層といわれる人々と言われるが、記念日やイベントごとなど一般的にもその存在は重要といえる。何より洗練されたサービスやホスピタリティ、上質な設えなどに触れられる機会は貴重だ。