この5月と6月、相次いで中国での日本人拘束の情報が報じられた。5月下旬には海南省三亜市と山東省煙台市で、ともに温泉掘削作業のための地質調査を行っていた千葉県の地質調査会社の社員ら計6人が中国の治安当局によって身柄を拘束されたことが判明した。
両市には、それぞれ3人ずつが3月下旬に現地入り。出張予定は1週間ほどだったが、4月初旬に突然、連絡が取れない状態になった。北京の日本大使館や駐広州日本総領事館から外務省への連絡で、6人が治安当局に拘束され取り調べを受けていることが分かったのは、拘束から約2か月後の5月下旬だった。
そのほぼ1週間後、遼寧省大連付近で、50代から60代の男性1人が5月下旬に拘束されていたことが、中国側から駐瀋陽日本総領事館に通告された。中国側はこの男性を「スパイ容疑」で取り調べていることを明らかにしたという。
前者の6人の場合、中国側は拘束の理由には触れていないが、後者の男性の場合は「スパイ容疑」と明言している。そのため、この男性は軍事管轄地域に侵入するなど“現行犯”で身柄を拘束された可能性が高いとみられる。
いずれも、中国人民解放軍の軍事情報絡みで拘束されているのは間違いない。中国軍は大連がある遼寧省と海南省について、「スパイ潜入の要警戒地域」として神経を尖らせていたからだ。