茨城県出身の還暦ライター、“オバ記者”こと野原広子が、世の中の気になったことについて、気ままに語る。今回のテーマは小池百合子・東京都知事です。
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「これまで街頭演説に、足を止めたことがないの」「政治に興味なかったしね」
先日の都議選で、小池百合子東京都知事の応援演説を待っていた50代女性に私も大きくうなずいて、いつの間にか、「次の会場も行こうよ」と即席の百合子会。こんな光景が、東京中で起こったのだと思う。
小池都知事がキャスターから政界入りしたのは1992年。台風の目になる日が来ると、誰が想像したかしら。
細川護熙氏の日本新党から自民党まで5つの党を渡り歩き、ついたあだ名は“政界渡り鳥”。ロバータ・フラックの『やさしく歌って』が抜群にうまくて、夜の宴会で男心をくすぐっているという記事に、細川護熙、小沢一郎、小泉純一郎。彼女が渡り歩いた男たちの顔が浮かび、「権力者なら誰でもいいふつうの女ね」と決めつけた私。
その印象が大きく変わったのは、昨年夏の都知事選で何度も街頭演説を聞いてから。この人、声を張り上げても、大きく拳を振り上げても、いつも同じテンション。自分の言葉に酔わないんだよ。
今回の街頭だって、「女性議員といってもいろんなかたがいますが」でひと息入れて、私たちに「このハゲーッ」を思い浮かべさせても、それ以上は言わない。
押し引きの“引き”の見事さは、日々のファッションでも存分に発揮されていて、胸元をスカーフやアクセサリーで同じジャケットに変化をつけた着回し術は、働く女が明日から役に立つテクニックばっかり。
これまでエラい女性議員のファッションといえば、シックなラインのスーツを極楽鳥のような色にして驚かせるか、ミスマッチな髪形でひかせるか。要は“権力を持った自分”が空回りして見えたけど、小池氏の装いは儲かっている中小企業のおしゃれな女社長みたい。こんな女性政治家が今までいた?
それだけでも充分だけど、私が注目するのは彼女のけんかの強さなんだよね。小池氏をナメた人がどうなるか。自民党のおじさんはそろそろ気づいてもいい頃なんだけどな。
※女性セブン2017年7月20日号