年3回ある大相撲地方場所のなかでも、名古屋は「最も稽古が見物しやすい」場所として知られる。その理由は、45ある相撲部屋のうち、19の部屋が名古屋では“お寺”を宿舎にしているからだ。
「もともと地方場所では安くて広いという理由で、寺院の本堂や離れを宿舎に借りることが多かった。かつては大阪でもお寺が多かったが、本堂の古い建物を大男たちが歩き回ることで、床が抜けるなど事故が相次いだため敬遠されるようになったといわれている」(協会関係者)
寺の境内に稽古場が設営されているため、多くの部屋では自由に見学に立ち入れる。
「稽古の後も、境内で風呂の順番待ちや日向ぼっこをしている力士たちにサインをもらったり、記念写真を撮ったりと気軽に交流できる。仲良くなってちゃんこをご馳走になるファンまでいる。東京では人気力士のいる部屋の敷居は高いが、名古屋は違う。大阪や福岡だと地元企業の敷地内などに稽古場がある部屋が多く、関係者以外立ち入り禁止の場合もありますから、大違い」(地元紙記者)
人気力士を擁する部屋で、市内にある寺院を宿舎としている例としては、
■八角部屋(千種区の相応寺/隠岐の海、北勝富士)
■宮城野部屋(緑区の浄泉寺/白鵬、石浦)
■伊勢ヶ濱部屋(瑞穂区の天理教東愛大教会/日馬富士、照ノ富士、宝富士、安美錦)
といったところが挙がる。