国内

危険ドラッグ 民泊利用の「新入手ルート」が蔓延している

危険ドラッグの流通にも民泊が活用されている

 池袋西口の路上で2014年に起きたRV車暴走死亡事故は、危険ドラッグを吸引して意識を失ったドライバーが引き起こしたものだった。この事故をきっかけに危険ドラッグは社会問題として大きな関心を集め、法律が改正され取り締まりも厳しくなった。その後、ニュースの見出しから姿を消していた危険ドラッグだが、2017年のいま、再び報じられる機会が増えている。ライターの森鷹久氏が、いま再び危険ドラッグに手を染める人が増えている理由についてリポートする。

* * *
「言った通りになったでしょう。今後はリキッド、パウダーが主流になるでしょう。ハーブは印象が悪すぎますからね。やはりエロって根強いですよね……」

 こう話すのは、かつて東京都西部に拠点を置き、危険ドラッグの製造や販売を行っていた男性・X氏だ。危険ドラッグをテーマにした拙著『脱法ドラッグの罠』(2014/イーストプレス)の取材に大いに協力してくれた彼は、当時からすでに冒頭のような”見通し”を筆者に語っていたが、それが現実になったと最近になって連絡をよこしてきてくれた。

 2017年6月には京都新聞記者が危険ドラッグの所持容疑で逮捕、また同じ所持容疑がかけられたTBS社員の場合は同局本社も家宅捜査されたとテレビや新聞が比較的大きく報道した。かつては危険ドラッグというとお茶やタバコのように乾燥させた葉を使用するタイプが多かったが、このマスコミ関係者二人は「液体」の危険ドラッグを使用していた。

「今年に入ってから“危険ドラッグ”絡みの摘発は確かに増えている」というのは取締りを担当する当局関係者。教員や一流企業社員、大学職員が危険ドラッグの使用や製造、密輸で逮捕される事例が相次いでいる。前述のX氏が解説する。

「二人のマスコミ関係者は、いずれも危険ドラッグ“ラッシュ”を製造・使用していたようです。これはラブドラッグとして有名で、2000年台前半に日本でも流行しました。2006年に規制され、日本国内では見かけなくなりましたが、最近になってまた持ち込まれるようになっています」

 かつて“危険ドラッグを使用する理由”について複数の関係者に取材した際、異口同音に聞こえてきたのは「性交のため」という事実だった。ラッシュは特に、同性間での性行為時に使用される例が少なくないといい、ゲイコミュニティでは規制後も流通していたという。もちろん、男女間の性行為時に気分を高めたりリラックスする目的で、また自慰行為のためにラッシュを使用するといった例もある。

 ハーブを吸ったあと意識を失ったドライバーによる暴走事故が相次いだ直後は、取締りが厳しくなったため、危険ドラッグ販売業者はなりを潜めていた。しかし、一連の事故から3年経った今、業者はすでにネット上での販売を開始しており、検索すると複数のサイトが確認できる。危険ドラッグの紹介文には「性交」を連想させるキーワードが並んでいて、どのような客層に狙いを定めているのかが見て取れる。

関連記事

トピックス

『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
調子が上向く渋野日向子(時事通信フォト)
《渋野日向子が全米女子7位の快挙》悔し涙に見えた“完全復活への兆し” シブコは「メジャーだけ強い」のではなく「メジャーを獲ることに集中している」
週刊ポスト
1966年はビートルズの初来日、ウルトラマンの放送開始などが話題を呼んだ(時事通信フォト)
《2026年に“令和の丙午”来たる》「義母から『これだから“丙午生まれの女”は』と…」迷信に翻弄された“昭和の丙午生まれ”女性のリアルな60年
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト